『利休にたずねよ』 山本兼一

e0028123_918629.jpg千利休の恋の話し。 それも、人生の根っこを決めた若き日の壮烈な恋の事件として描かれている。

利休は、秀吉の何の逆鱗に触れたために切腹を言い渡されたのか、史実として明確には残っていない。 殺される理由がわかっていないのだ。 作者はそこに目をつけた。 生涯をかけて美を探究する利休のモチベーションはどこからきたもなのか? それを、作者は追及したのだろう。

史実に基づいて創作される話しが歴史小説とよばれるのであれば、この『利休にたずねよ』は最高によくできていて面白い。 第140回直木賞作品。

天下をとった秀吉の唯我独尊の様子が戦国時代の背景として、実によく写し出されている。 そんな世界に、茶人や茶の湯とはどのような役割と趣向をもっていたのか、私などは不思議に思えていた。 ひとつだけ理解できることは、「ホスピタリティ」ということだ。 どんな時代にも、「もてなし」という表現力が人間関係を構築する上には欠かせない、ということ。(私は苦手なのですが・・) 現代においても、企業も政治家も、人が集まれば人間関係を作るために接待交際を行うが、戦国時代にも応接が必要とされたのだろう。

利休の切腹に至るまでの話しを、とりまく人間の目を通して各章で語られる構成になっている。 最終章に向かって一つひとつ扉が開かれていくように核心に迫っていく。 この構成が読み手を引きつけて離さない。  
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by Hhisamoto | 2009-07-04 09:16 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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