日本語への翻訳を担当されたヘレンハルメ美穂さんがすばらしい「訳者あとがき」を書いている。
「 本書には、クルド人難民イドリス・ギティが登場する。 病院で清掃の仕事をしているという設定は、典型的な”移民労働者”のイメージだが、ラーソンはイドリス・ギティの来歴を詳しく語り、彼をひとりの個人として浮かび上がらせることによって、そんな紋切り型のイメージを打破してみせた。 人間はひとりひとりが異なる個人であり、それぞれに固有の歴史がある。 それを”移民””女”と十把一からげにまとめてしまうことこそ、差別のはじまりだと言えるだろう。 『ミレニアム』三部作の登場人物たちが、どんな脇役であっても詳細な設定を与えられ丁寧に描かれているのは、『ミレニアム』の世界のリアリティを築くためであるのはもちろんのこと、固定観念やステレオタイプに基づく差別と戦おうとしたジャーナリスト、ラーソンの気概の表れであるのかもしれない。 」 著者のスティーグ・ラーソンという人はすでに他界してしまったと聞く。 スウェーデンの国民的ベストセラーとなり、映画のヒットも含めた、その莫大な遺産をめぐって親族の争いが続いているとも聞く。 こんなすごい作品を書いてしまったら天命を使い果たして死んでしまうのだろうな、と思えるほど面白かった。
by Hhisamoto
| 2010-06-27 18:47
| ■えせ文化人(本、映画・・)
|
カテゴリ
プロフィール
住み家: 東京都国分寺市
生まれ: 1959年 しし座 大切にしている言葉: 「吾、唯足るを知る」 探しているモノ: おいしいカレーライス 求めているモノ: ホンモノ、魂のある言葉 以前の記事
2011年 09月 2011年 08月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 06月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 フォロー中のブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||