スティーグ・ラーソン 『ミレニアム3』

e0028123_18483444.jpg日本語への翻訳を担当されたヘレンハルメ美穂さんがすばらしい「訳者あとがき」を書いている。 

「 本書には、クルド人難民イドリス・ギティが登場する。 病院で清掃の仕事をしているという設定は、典型的な”移民労働者”のイメージだが、ラーソンはイドリス・ギティの来歴を詳しく語り、彼をひとりの個人として浮かび上がらせることによって、そんな紋切り型のイメージを打破してみせた。 人間はひとりひとりが異なる個人であり、それぞれに固有の歴史がある。 それを”移民””女”と十把一からげにまとめてしまうことこそ、差別のはじまりだと言えるだろう。 『ミレニアム』三部作の登場人物たちが、どんな脇役であっても詳細な設定を与えられ丁寧に描かれているのは、『ミレニアム』の世界のリアリティを築くためであるのはもちろんのこと、固定観念やステレオタイプに基づく差別と戦おうとしたジャーナリスト、ラーソンの気概の表れであるのかもしれない。 」

著者のスティーグ・ラーソンという人はすでに他界してしまったと聞く。 スウェーデンの国民的ベストセラーとなり、映画のヒットも含めた、その莫大な遺産をめぐって親族の争いが続いているとも聞く。 こんなすごい作品を書いてしまったら天命を使い果たして死んでしまうのだろうな、と思えるほど面白かった。
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by Hhisamoto | 2010-06-27 18:47 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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