吉祥寺リトルスパイスの「ブラックカレー」

渋谷で生まれ、駒場東大前で育った私にとって、京王・井の頭線はもっとも親しみのある「足」であり、とりわけ下北沢と吉祥寺の街は思い出深い。 

その吉祥寺へは現在、月に1度の頻度で、小学3年の長女を山田歯科という小児専門の歯科医のもとへ通わせている。 医院長の山田氏は、私がアメリカでソフトウェアの仕事をしていた1980年代の後半(私が20代の後半)に、氏が視察旅行で日本から来られた際にお会いした先生であり、その後私と同じくドイツの人智学者・シュタイナーに傾倒した経緯を持っている。 氏は人間本来が持つ治癒力やあるべき役割というものを最大限に尊重し、それを歯科医療に取り入れている。 まず歩くこと。 子供の成長期には自分の足で歩かせ、それによってあごの発育を促すことの重要性を説く。 医院を訪れるとすぐに気づくことになるが、オープンで教育的な治療を行っている。 歯の磨き方や食事の与え方など、子供に必要な要素・親に必要な要素を、それぞれに指導をすることを忘れない。 予防医療などという言葉も出てきているが、どこまで実践されているかが疑わしい中で、医療本来の姿を目指している方であると思っている。 今回、長女の歯列のことで氏のもとへ通うことになったが、「求めるものは、出会えるもの」を感じる嬉しい再会だった。

今の国分寺の自宅からは、中央線で下車する吉祥寺だが、私にとって長女との貴重なデート時間だ。 成蹊大学そばの山田歯科医院からの帰り道、東急百貨店脇にある「リトルスパイス」というカレーハウスに立ち寄った。 ここのブラックカレーなるものの噂を耳にしており、一度機会があれば食してみたかったのだ。 娘には悪いが、私の趣味に付き合わせることにした。

夕食時間前の5時ごろに入店したのが悪かったのか、センスのない民放ラジオが大音量で鳴り響き、おまけに狭いカウンターの中ではマスター風の女性と若い店員が言い争って何やら険悪なムード。 まだ客を迎える時間ではありませんよ、と言われているようで雰囲気は最低。 

私が予定通り「ブラックカレー」900円を、娘には「シーザーサラダ」420円をオーダーする。 カレーの方は大丈夫だろうか? と不安げな私に出されたブラックカレーの見栄えはすこぶる良かった。 紫がかったのオニオンスライスと三つ葉の緑の色添えが、濃いカレーの色とコントラストをきかせていて、写真に撮りたい衝動にかられる。 ゴハンはカレー用にはもう少し固めがほしいが、カレーそのものは辛さと香りの調和がとれていて、スパイスが十分に味わえる。 じわじわと湧いてくるような引き締まった辛さと、カレーの油気が口にまったく残らない不思議なおいしさが味わえる。 もちろん胃にもたれる感じもない。 こんな食後感は初めてだ。 

インパクトのある味なら、淡路町「トプカ」のインドカレーのむせるような辛さも相当なものだが、そういった直撃型のインパクトとは対極にあるものを感じた。 スパイスは脂溶性があるので、香りやコクを油に移して媒体にするのが一般的だが、何か違う調理方法なのだろうか、などと考えさせられてしまう。 そこで、カウンターの女性に「このブラックは何の色なんですか?」と婉曲に尋ねてみたが、教えられないとあっさり断られた。 
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by Hhisamoto | 2005-10-09 21:43 | ■B級グルメ
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