辰巳芳子さんのこと

何気なく見たNHK「きょうの料理」の特集モノで、辰巳芳子さんというおばあちゃん料理研究家のことをはじめて知った。 だしから作るスープに興味があったので、本当に何気なくつけたテレビだったが、やがて正座して見なければならない深いものがあることに気がついた。

1924年生まれというから82歳になられるはずだが、この方は「料理」というものを通して、人としてのあるべき姿が見えてきているのではないかと思えてしまう。 

たとえば、辰巳さんの本には、料理のことはもとより、真理をつくような話しから、人に対する思いやりの言葉まで幅広く出てくる。 もともと、床に伏せった父に与える滋養のために考案されたことが根底にあるらしい。 「愛」という言葉にも多く出会える。 しかし、抽象的であったり、精神論であったりすることはない。 料理の方法は、素材と調理法の組み合わせを中心に体系化した説明すらある。 一見古いようで、新しい時代にも欠くことのできない手法。 親しみがありながらも、手が届かないほど深い含蓄がある。 

また、「食」が人間の生を支えていることから、幼児、学童の給食へ、安全な食を提供し、いら立たず、子供の発育が守られることを願う提言をしている。 そして、つゆもの、スープが、家庭生活をあたたかく守り支える存在になることを真摯に願っていることが伝わってくる。


e0028123_22585588.jpg辰巳さんの本 『あなたのために』 を買った。
私はこの本を何年もかけて読み解き、その一部だけでもまねごとをしてみたい。 たぶん、こういう本は何十年か後に、子供たちが何気なく家の本棚から取り出して読み、ハッと何かに気づいてくれる時がくるのではないだろうか。 

2,600円の本だったが、得をした気分になった。
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by Hhisamoto | 2006-04-15 21:19 | ■B級グルメ
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