アメリカ産の花柳小説 「さゆり」

e0028123_21484296.jpge0028123_2148574.jpg実話のように読めるこの小説の完成度の高さにぶったまげた。

外国人だろうと、深い探究心と労力をもってすれば、他国の文化を洞察して人の心をゆさぶる小説が書けることを証明している。
作者のアーサー・ゴールデンはニューヨーク・タイムズのオーナー一族に生まれたが、ハーバード大学で日本語を学び、ボストン大学でMA(文学修士)の学位を得て作家の道を選ぶ。 その彼が最初に書きはじめた小説が、日本の花柳界についての小説だった。 その小説に、10年の歳月を要して3回の書き直しを行い、発表したものが「さゆり」であったことを下巻のあとがきで知った。

作者は、「もし、日本の作家が日本について書いたとしても、日本文化を正しく伝えているかどうかという疑義が持ち出されることはないでしょう。 しかし、それを外国人が書いたとしたら、たとえ一字一句まで同等の作品であろうと、ちがった目で見られるはずです。」 と、外国人が他国の文化に足を踏み入れた際に生じる軋轢感覚を察していた。 そして、人間の咎に触れる覚悟を持ってこの小説を世に出し、世界中に認められた。 

こんな卓越した小説を書いてしまったら、作者のアーサー・ゴールデンはもう燃え尽きてしまって、次の小説を書けないのではなかろうか、と懸念さえしてしまう。 
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by Hhisamoto | 2006-10-07 08:12 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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