『美しい国へ』 安倍晋三

e0028123_015472.jpg安倍さんは何のためにこの本を書いたのだろうか。 自らを「闘う政治家でありたい」と言い切り、ここ一番、国家のため、国民のためとあれば、批判を恐れず行動する政治家になるんだ、と夕日の海に向かって声をあげているようにも思える。 つまり、総理就任時の『所信表明演説』より前に、『初心表明演説』して、この初志を貫徹します!と宣言したのだろう。 従来の政治家がこの手の本を書けば一様にうさん臭く感じられるが、素直に読めるのはこの方の人柄なのだろうか。 全編にわたり平易で理解しやすく書かれていて、「分かりやすくするから、政治に関心を持ってね」と促されているようだ。 

私は、今年の9月から内閣総理大臣を就任したこの安倍さんに、2つの関心事がある。

一つは、この安倍さんが北朝鮮拉致問題提唱のパイオニアであったこと。 安倍さんの拉致問題への係わりは、有本恵子さんが1983年に留学先のロンドンで行方不明になり、5年後に北朝鮮にいることが判り、両親が晋三の父・晋太郎の事務所に助けを求めて来た時から始まっている。

当時、拉致問題は政治の土俵には上がっておらず、被害者家族にしてみれば国に見捨てられたようにすら思えていただろう。 この問題に敢然と立ち向かったのが安倍さんだった。 そして、2002年に一時帰国した蓮池さんら5人の拉致被害者を「国家の意志として5人は帰さない」と言い切ったのもこの安倍さんだ。 マイノリティな議員のスタンスを恐れずに歩む姿勢と決断力を示している。

もう一つの関心は、総理として掲げているテーマ「教育の再生」への期待だ。
本の中では、戦後の日本人が、なぜナショナリズムをうまく表現できなくなったのか、という点についてかなり納得のいく分析をしている。 そして、戦後教育にも問題があるとした上で、その対策の手本をイギリスのサッチャーさんが80年代に行った改革に求めている。

たしかに少子国家となった今、教育の手本にする国は今さらアメリカではあるまいと思う。 イギリスの実態はよく知らないが、この教育改革の火は、メージャー首相、ブレア政権へとアクション・プランが引き継がれ、国に対して誇りをもてる教育に取り組んでいるという。  

もっと身近な教育施策の話しとしては、「ダメ教師には辞めていただく」という。
私には小学生の娘がいるが、低学年だった時の担任教師に、公務員として首にならないギリギリの線で公休を綱渡りのように使いこなし、学校をさぼる教師がいた。 かなり問題になり、親が続々と校長室に詰めかけたと聞く。 この辺のことを言っているのだろう、と想像した。

また、幼児教育の改革にもふれている。 幼稚園と保育所を一体化した「子ども園」の認可を推進するという。 幼稚園は文科省、保育所は厚労省の管轄だから縦割り行政がどうのこうの・・など、手垢のついた理由を飛び越えて実践してほしい。 「三つ児の魂・・」というが、人間の原点が育まれるのは幼児期にある、というのが私の考えだからだ。

問題が表面化したり、対策の効果も分かりやすい小学校以降の教育に対応する政治家が多いが、3歳~5歳の幼児教育にふれているこの人の姿勢に期待したくなった。
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by Hhisamoto | 2006-10-20 23:43 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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