A級グルメ 『分とく山』のゴハン

e0028123_19285270.jpg広尾『分とく山』の総料理長・野崎洋光さんが、金子ボクシングジムの先輩であることを教えてくれたのは、後輩の福井英史氏だ。 かつて自由が丘にカジュアルフレンチのレストランを開いていた福井氏は、現在カレーの通販のみで勝負している料理人。 同じ道の大先輩でもある野崎さんとお会いして話しをしたい! 料理を食べてみたい! ということから今回、気ごころの知れた男ばかりの三人で『分とく山』に席を設けるに至った。 

■野崎洋光総料理長(右)と、フクイカレーの福井英史 氏(左)

e0028123_19245146.jpg分とく山の1階はカウンター席で、2階はテ-ブル席になっているが、我々には離れの部屋を取ってくださった。 そして、野崎さんは料理の合間に何度も部屋に来てくれて、我々といろいろな話しをフランクにしてくださった。

野崎さんは、福島県出身の1953年生まれ。 上京して武蔵野栄養専門学校に通いながら、夕方から金子ジムで練習をされていたという。 アマチュアの代表選手として戦績を重ね、プロのリングで上を目指すか、あるいは料理の道を取るかで悩まれた。 当時、ジムのチャンピオンだった岩田健二さんやリッキー沢さんらからも、人生を示唆する話しをもらったという。 プロになってどこまでやれるのか? ランキング入りか、日本チャンピオンか? あるいはもっと上までいけるのか? また、ボクシングを引退したあとで料理の世界に入れば、同輩の後塵を行くことになる。 それを考えると、二者択一をせざるをえなかったという。

e0028123_1914046.jpgボクシングの道を断念し、料理の道に入った野崎さんの活躍は、すでに著書、雑誌、テレビ等のマスコミでも知れているが、この野崎さんは常に人柄がにじみ出る柔和な表情で、丁寧な話し方をされる。 料理の世界でありがちな暴力的な教え方なども一切してこなかったという。 現在も70名の弟子をみているが、殴って上達するならいくらでもそうするが、決してそんな単純なものではないと笑う。 こんな温和な人柄が表れる話しをいくつも聞くことができた。 

e0028123_19131538.jpg店にメニューはなく、1人1万5千円のおまかせコースのみ。 日本酒「八海山」をほどよい燗で飲みながら食事を味わった。 スッポンをベースにしたスープから始まり、香りのきいた岩のりとアワビを合わせた料理やカニに至るまで、すべて素材を活かした美味しいものばかりだった。 

特に驚いたのは、土鍋で炊いたゴハンの美味しさだ。 まさに光っていた。 口に含み、香りを感じながら噛めば噛むほど味わい深い。 鍋底からほどよく取れるおこげの歯ごたえもよかったし、湯気の香りを味わえるほど美味しく炊かれたゴハンだった。


e0028123_1947127.jpg特別な農法により育てられている契約農家のお米を使用していると聞いていたが、これほど違いがあるとは思わなかった。

デザートに至るまでの、ボリュームたっぷりの料理と7合のお酒で、すっかり満足した我々は、店の離れで夜の7時から11時まですごした。 帰りの際には、野崎さんの著書「ご飯のおかず」までいただいた。 そして、どのお客様が帰られる際にも行っているように、野崎さんをはじめとした板さんたちが、我々を乗せたタクシーが完全に見えなくなるまで店の外で見送ってくれた。 日本料理の心は「もてなし」にあり、とあらためて知らされた。

福井氏、斉藤氏は、このあと国分寺の私の家まで来てくれて、さらに夜中の3時まで飲み明かした。 最近、こんなふうに徹底して飲んで話しをすることも少なくなったので、なんとも楽しく満足感のある夜だった。
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by Hhisamoto | 2006-12-01 23:59 | ■B級グルメ
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