小野 員裕 『カレー放浪記』

e0028123_21211186.jpgこの方が以前に著した『東京カレー食べつくしガイド104/380店』という本も読んだことがあり、私はその中で紹介されている主だったカレー店には、すべからく足をはこんだ。 著者は、インドカレー、欧風カレー、洋食カレーといったジャンルを超えて、カレーに愛着をもって接し、自らの舌で感じるままに書いている。 また、カレーとそのカレーを汗してつくる料理人に対しても、食べる側の立場で偉そうな批評などはなく、素朴で好感がもてる。

カレーのジャンルから思いあたることは、店を構えている方は当然自分の勝負する土俵を決めているから、何々カレーというジャンルをはっきりと持っている。 ところが、この著者の小野さんのように、フードライターであり、ご要望とあれば出張カレーケータリングを開くという身軽な方にとっては、「旨いカレー」というしるべ以外には何もないので、インドっぽい自由で開放的な雰囲気が感じられておもしろい。 そして、紹介されているお店にピンとくるものがあれば、訪問して自分の感性と舌を試すという二重の楽しみがある。

e0028123_2245587.jpgたとえば、紹介されているお店の一つ『BAROSSA』という東池袋のレストランに行った。 本にある通りで、ここはカレーもメニューのひとつであるが、となりのOLが食べていたラザニア風のパスタも美味しそうだったし、豊富に並んでいるオーストラリアワインにも惹かれるものがあった。 そして、鍋でぐつぐつ状態で出されるカレーのめずらしい美味しさには強いインパクトを覚えた。 ほのかな甘みと強い辛さは、もーこれしかないという絶妙なバランスで成り立っている。 印象に残る旨さだ。 

それから興味深かった点はインドカレーについての言及だ。 インド料理は肉や魚のイノシン酸やグルタミン酸などの旨味を追求しない傾向があるというのだ。 私は『旨味』というやつは、その名のとおり「旨い!」といわせるために、どうにも不可欠な要素のような気がしてならない。 この旨味にとって代わる味の要素があるのならぜひ知りたい。 あるような気もするのだ。
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by Hhisamoto | 2007-02-07 21:19 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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