オオカミ犬の話し 熊谷達也と乃南アサ

熊谷達也 『漂泊の牙』
e0028123_11582496.jpg養護施設「日の出学園」の孤児として育ち、動物学者となった主人公の城島郁夫。 野生的な勘と知識を兼ね備え、動物と化してオオカミを追う雪山のフィールドワークは世界の権威をうならせる。 サバイバルナイフ一本でオオカミ犬と格闘する男。 その眼で見据えられると、老練な刑事ですら背筋が凍る。

その城島郁夫の妻がオオカミ犬に食い殺される。 幼い娘を残し、山での闘いに挑む城島に、真相を追う刑事や、真迫のドキュメンタリー作りをめざす女性ディレクターなどの生き様がからむ。 真犯人に迫る後半は、テレビのサスペンスドラマさながらで、テーマ音楽と共に刑事役の船越栄一郎が重なってきそうでおもしろかった。

(でもやっぱり、熊谷達也は『邂逅の森』が最高傑作。 これに尽きると思う。)

そういえば、以前読んだ本にも、オオカミと大型犬を掛け合わせて最強の殺りく犬を作り出す 『凍える牙』 という小説があったことを思い出した。 

乃南アサ 『凍える牙』
e0028123_1203746.jpgこの作品で乃南アサは直木賞を受賞し、警視庁機動捜査隊の音道貴子というキャラクターを作り上げることになる。 普通のOLに近い悩みを持ち合わせながらも活躍する孤高の女刑事・音道貴子シリーズはここから始まった。

この話しも、オオカミと大型犬を掛け合わせて作られたオオカミ犬が、悪の手先となって暗躍する。 そして、そのバックに潜む人間をあばき出すという流れ。 これもテレビのサスペンスドラマの原作になりえる楽しさがある。
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by Hhisamoto | 2007-03-18 10:26 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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