『マイ・ストーリー』 山本容子

e0028123_1128184.jpg刺激に満ちた彼女の生きザマが豊潤な大人のユーモアをたずさえて描かれている。

常に自分をみがく前傾姿勢。 あくなき探究心は動物的だ。 情熱的に生きたメキシコの女流画家フリーダ・カーロとディエゴ・リベラを引き合いに、私の要求を満たすためにはたくさんのボーイフレンドが必要だったと語る。

高いセンスを感じるユーモアはそこかしこ表現されている。
「長い長いあとがき」と称して今の自分を書き、たどり着いたかに思えた伴侶との離別をも告白している。 このあたり、読む者に対しても最後まで刺激を与えてくれる。 

子どもが読んでいた「赤毛のアン」全10巻に、すばらしい銅版画の挿絵がほどこされているのは私も見たことがあった。 こういったポピュラリティな活動については、芸術家の世界では反感の声も多かったそうだ。 カバーをかざる表情豊かな写真から分かるように、この人はただの美人ではなく、人を引きつけてやまない魅惑と感性をたたえた美女だ。 こういう人は歳がいっても品性と魅力は衰えないと思う。 また、男はこういう女性にまちがいなく弱い。

死して名を残した芸術家ではなく、現代に生きる芸術家とはこういうものかと考えてもおもしろい。 例えば、現代の美術家に対する言及が興味深い。 ミケランジェロ、ラファエロ、ピカソなどのように、政治的な戦略、プロデューサー的なセンスも必要で、美術家で生き残っているのは、いわいるやり手がほとんどだという。

前向きに生きる情熱とラジカルが混在する山本容子の半生。 私は、自分の娘がいくつになったらこの本を読むべきかと考えこんでしまう。
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by Hhisamoto | 2007-04-07 11:24 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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