映画 『ギルバート・グレイプ』

e0028123_152296.jpg当時19歳のレオナルド・ディカプリオが知的障害をもつ弟役で出演していることや、ジョニー・デップが若き主人公を演じていることから、彼らが有名になった後、再び発掘されるように名前が世に出た作品らしい。 ところが皮肉なことに、彼らが有名になろうが無名のままでいようが関係なく、この平凡で心温まるヒューマンストーリーが大好きという人が多いと聞く。

私もそんな知合いから教えていただいて、この1993年製作の作品を観るに至った。
人口千人ほどの田舎町、アイオワ州エンドーラ。 24歳のギルバート・グレイプ(ジョニー・デップ)は、大型スーパーの進出ではやらなくなった食料品店に勤めている。 日々の生活は退屈なものだったが、彼には町を離れられない理由があった。 知的障害を持つ弟アーニー(レオナルド・ディカプリオ)は彼が身の回りの世話を焼き、常に監視していないとすぐに町の給水塔に登るなどの大騒ぎを起こすやんちゃ坊主。 母のボニー(ダーレーン・ケイツ)は夫が17年前に突然、首吊り自殺を遂げて以来、外出もせず一日中食べ続けたあげく、鯨のように太ってしまった。 ギルバートはそんな彼らの面倒を、姉のエイミー(ローラ・ハリントン)、妹のエレン(メリー・ケイト・シェルバート)とともに見なければなれなかった。(goo映画より)

こういった田舎町を舞台にしたアメリカ人の平凡な生活感は、東のニューヨーク、西のロサンゼルスにしか目が向いていなかった若い頃の私には理解がなかった。 

しかし、私が滞在時に見たアメリカの原風景には存在した。 なぜ、週に一度のポーカーゲームの集いがあるのか。 移動式のサーカスや遊園地、町の高校の体育館で行われるボクシングやプロレスの興業に、なぜ町の人々があつまるのか。 東西を除くアメリカ中央の広大な土地で、平凡に、潔く、保守的に生活する人々のいかに多いことかを知って愕然としたことがある。 こういった人たちの生活感は、人間の生き方そのものが写し出されるようで、奥深く、リアリティを持っていると感じた。

e0028123_18211054.jpgつきなみだが、映画としての話題点も多い。
当時19歳のディカプリオが演じる知的障害児役は圧巻。 並みの演技力でないことは誰の目にもわかる。 主人公ギルバート・グレイプの心に入り込むベッキー役のジュリエット・ルイスも不思議な魅力をふりまいている。 元カレだったブラッドピットもそのへんの魅力におちていたのかもしれない。 スウェーデン出身のラッセ・ハルストレム監督も 『ショコラ』、『サイダーハウス・ルール』など、ちょっと風変わりな映画を作る実力派だと思う。 

ちなみに、私が気に入ったシーンの一つは、ジョニー・デップ演じる主人公ギルバート・グレイプに、性の手ほどきをする保険代理店の社長婦人。 夫を突然の心臓麻痺で亡くし、未亡人として町を出ることになるが、その際にギルバートが働くストアに立ち寄る。 幼い二人の息子を持つ未亡人は、「息子たちも、あなたのような青年に育ってほしいと思っている」と告げるシーンだ。 人間の価値は、花のようにどんなところにも咲くということか。
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by Hhisamoto | 2007-04-29 01:50 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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