花村萬月 『たびを』

e0028123_2040051.jpg人気作家・花村萬月の小説をはじめて読んだ。 7cmくらいある分厚い本(ちょうど1000頁)だったので、ソファーで読みながら眠くなるとよく枕にして寝た。 持ち歩いたり、通勤電車では読めない本だった。

19歳の浪人生・虹児が、憧れの元同級生モモの死を契機に、オートバイを駆って日本一周の旅に出る。 そのひと夏の旅先で出会う人々との関係が虹児を大人にしていく話しだが、オートバイが「改造スーパーカブ」だったり、やたらと「イイおんな」と出会い関係していくところは、つい羨望をもって読んでしまう。 (おそらく主人公と同じ世代の読者はもっとはまるのではないかと思う)

京都、九州、北海道など、旅先の紀行として描かれていた部分は、作者自身の目線そのものであるはずなので、とても面白かった。 たとえば京都の街並の描写など、紀行文として興味深く読める話しが豊富にある。 河井寛次郎記念館の展示物 『楽在具中』 の意味について、花村萬月は、主人公・虹児を通じて言っている 「<楽在具中>の具は、道具の具ではないかと考えた。 そうであると判断すれば、楽は具の中に在るという意味がすんなりと理解できる。 単純だ。 楽しみは道具の中に在る。 芸術ですよとハッタリをかます特殊な代物の中にではなく、身のまわりに美がある。 そういうことだろう。 陶芸家・河井寛次郎は、美しいものとは見る人の主体性の問題なんだよって言ってるんだな」・・。

自身の考え方がなければ小説として書くことはできない。
女性に対する見方や考え方も花村萬月という人が出ていて面白かった。
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by Hhisamoto | 2007-05-19 20:37 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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