『裏から見た表』 森 泉人

e0028123_10135743.jpg敗戦国となった終戦直後の日本では、それまで虐待していた朝鮮系、中国系の人たちが反動的に暴れ回ったが、この暴動を当時の警察は治めることができなかった。 それを身体を張って収めたのは、やくざの親分衆の侠気だった。

その親分衆の中でも、器量の大きさと侠気で頂点を極めた稲川会総裁「稲川聖城」の生きザマが、側近・森泉人氏によって書かれた本。

なぜ、こんな本を薦められたのか分からなかったが、読み始めてみればイッキ読みしてしまうほど面白かった。

当時、竜虎と称された、西の「田岡一雄」山口組三代目組長、そして東の稲川会総裁「稲川聖城」。 ”両雄並び立たず”という言葉があるが、この両者はついに争うことなくお互いの立て引きによって”並び立つ”ことができた姿が描かれている。 日本のトップを極めた両雄のスケールの大きさと賢さは、社会の裏とか表などに関係なく、傑出した人物であったのだろうことが容易に想像できた。

この本の全編、「立て引き」という言葉が多く使われているのに気がつく。
耳慣れない「立て引き」という言葉の意味も、読んでいる最後には理解できてくるような気がした。 辞書には「義理を立てること」とあるが、私利私欲ではなく大局に立ち、相手の立場を考えて行動すれば、おのずから志が理解される。 レベルの高い理解があるから、義理を立てた方も立てられた方もお互いを理解しようとする心が生まれる。 そんな志のすり合わせのことであり、駆け引きでもなければ、貸し借りでもない。 そう理解をした。

また、森泉人という著者は知性派参謀だったらしく、永田町のことにも多く触れていることが興味深かった。 高く評価できる近代政治家に、後藤田正晴氏、土井たか子氏などをあげているが、私もまったく同感とするところだ。

児玉誉士夫とのやり取りなどもスケールの大きな話しで面白い。 本宮ひろしの漫画を連想させるような場面がたくさんあった。
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by Hhisamoto | 2007-07-07 10:12 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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