追悼 河合隼雄 『深層意識への道』

e0028123_151545.jpgものしりな仲間に教えられ図書館に行けば、すでに「追悼コーナー」まで設けられている河合隼雄さんの著書の数々。 ユング派心理分析家の第一人者としての功績と、日本語、英語、ドイツ語で百冊に至る著書を残して、この7月に亡くなった方だ。 無知な私はこの方の本を読んだことがなかった。

まず手にとった『深層意識への道 (グーテンベルクの森)』 という単行本を読んで驚いたのが、その人なつっこい平易な文章表現。 「難解な内容を、いかに容易で理解しやすく表現できるか」 これこそが高いインテリジェンスの発露だと感じる私には本当にウレシイ。 しかも、一貫してユーモアを忘れない表現に、この方の人間性のレベルの高さを感じる。 心理学者という人間の中枢を掘り下げる職業をしている方でも、必ずしもこのような表現力をたずさえている方ばかりとは限らないはずだ。 

たとえば、フロイトとユングと仏教思想との位置付けに至る話しまで、無理なく表現しようとするくだりがある。 「欧米の近代というのはがっちりした意識体系をつくって自我というものを確立し、自我の強化に努力しているなかでフロイトとかユングが、それだけでは駄目だ無意識ということを考えないと駄目だと言い出したのですが、仏教はそんな自我を固めないです。 固めずに意識もどんどん、どんどん深く降りていったら、ものすごく面白い意識があるというので、無意識などとはいわない。・・・(中略) だから仏教は、そんなことはもう知っていたで、と言いそうなところがある・・・」

評論家ならいろいろと言うだろうが、分析家自身でこんなことを大胆に語っている人を私は知らなかったので面白かった。 当分、この方の著書にはまりそうな気がする。
[PR]
by Hhisamoto | 2007-08-15 21:05 | ■えせ文化人(本、映画・・)
<< 『レミーのおいしいレストラン』 『ポークカレー辛口』 by フ... >>