『知的障害者のかっこいいワイン』 日経マガジン

e0028123_2135101.jpg日本経済新聞を購読すると、月に1回、日経マガジン「THE NIKKEI MAGAZINE」というおまけがついてくる。 私は、気持ちのこもった編集が施されているこの小冊子が好きで、毎回楽しみに読んでいる。

9月号の記事に『知的障害者のかっこいいワイン』と題されて、栃木県足利市の「ココ・ファーム・ワイナリー」のことが載っている。 ここはスパークリングワインが2000年の沖縄サミットの晩さん会の乾杯に使われたことで一躍有名になったワインファームだ。 ソムリエの田崎真也さんの推薦で候補になり、最後はラベルを隠したブラインドテストで選ばれた正真正銘の実力派だそうだ。

そして特徴的なことは、知的障害者の更生施設「こころみ学園」の園生たちが、そのブドウ作りに従事していることだ。 学校を卒業しても働き場のない知的障害者の実情に対して、ならば働く場を作ろうと、こころみ学園の園長である川田昇さんが1958年に私財を投じて山を買い、畑を開いた。 園生30人の更生施設としてスタートした農園の経営は困難だったにちがいない。 職員総出で工事にあたり手作りで始めた様子が彼らのホームページに語られている。

当初はブドウそのものを出荷する農園だったが、ワインへの挑戦にかけたらしい。 とはいえ、単なる夢とロマンの物語だけではなく、ワイン造りへの挑戦はそろばんをはじいた結果だともいう。 生鮮品のブドウは収入が安定しない。 ワイン造りが軌道に乗れば、売り先が確保でき、園生の経済的な自立に役立つと考えたという。 また、「知的障害者が造るワイン、ではだめ。 同情で買うのは1回だけだから。」とプロ意識を確立させている。 さらに、完成したら毎年4本ずつ6年間ワインを届ける約束で一口10万円の出資を募るなど、品質を高めるための資金集めにも工夫が見られる。 「売れるものは何でも売る」と、醸造所併設のショップにはワイン以外の商品も充実しているという。 まさに「したたかに、しなやかに」という表現がぴったりだ。

「与える者」と「与えられる者」ではなく、全員が役割を果たす。 草刈りのプロ、瓶詰めのプロ、園生の家事を支える家事のプロ。 「一人ひとりがプロになってはじめて、本当の自立がある」 園長の言葉が重く響いた。 と結ばれている。

新しい時代の組織作りに、参考になる話しばかりだと思えた。
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by Hhisamoto | 2007-09-15 08:10 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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