ミヒャエル・エンデの 『モモ』

e0028123_2339044.jpg私にとっては、現代の地球環境問題も、人間の精神についても分かりやすく表現してくれている驚きの一冊だった。

たまたま手にしたこの岩波少年文庫は、裏面に「小学5・6年以上」とあったが、児童文学とか寓話とかいう範疇に納まらない奥深か~い話しだと思う。 

人間性も、人の命というものも、この物語では『時間』という概念でとらえている。(実際にそうだと思う) この豊かな時間を人間生活から奪いにきた灰色の男たちがいる。 そして、文明社会の進展と共に人の心を奪っていく灰色の男たちと対峙するのが、年齢も素性も分からない浮浪児の少女「モモ」だ。

文明の進歩と便利な世の中が人間を豊かにする、と信じて歩む人間は多くの犠牲を払ってきた。 自然を破壊してでも得るべきものを追求してきたのが人間であるし、CO2を削減しなければ地球が危ういことに気づいたのも人間。 人間が生きるということには総量があり、所詮はトレードオフということなのだろう。 

この物語の最後に「作者のみじかいあとがき」という不思議な章がある。
作者のミヒャエル・エンデは汽車で旅をしている時、年齢もさっぱり分からない奇妙な乗客と同じ車室に乗り合せ、その男から長い汽車旅行の間にこの物語を聞いたという。 そして男は、「過去に起こった話しのように話しましたが、将来起こることとして話してもよかった。 どちらでもそう大きな違いはありません」と言ったそうだ。

この本にめぐり合ったからには、「忙しい」とか、「時間がないから」、などという言葉は今後使うわけにはいかない。
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by Hhisamoto | 2008-01-03 23:37 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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