三浦綾子 『塩狩峠』

今年は桜も早めに咲き誇り、4月には葉桜が残るのみ。
予定していなかったが、末娘の小学校の入学式に参列することができた。 私は3人目の入学式にして初めての参加だったが、(聞いてはいたが)父親の参加が多いのに少々驚いた。 (良いことだが)皆さんそんなに余裕をもって仕事をしているのだろうかと思ってしまう。 ビデオ撮影にもみんな余念がない。 聞けば授業参観日にもビデオ撮影は盛んで、先日は教壇側に立ってビデオを回していた父親が教師から注意されていたという。

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e0028123_19294310.jpg初めて小説を読んで涙したのは、たしか中学生も終わりの頃に読んだ三浦綾子の『氷点』だったと記憶している。 殺人犯の娘であることを知った陽子が、雪道をひとり行く姿を思い浮かべ、その足取りはどんなに重かったことか・・と、ノーテンキで純だった中学生は想いを馳せたのだ。

それ以降、三浦綾子作品を読んだことはなかったが、先日風邪でダウンした際、活字中毒気味の私はすぐにテレビに飽き、何か読み物がないかと部屋の中を探し回った。 その時、嫁さんの持ち本の中に「塩狩峠」を見つけた。

自分に誠実に生きる主人公・永野信夫は、ねじれた心の同僚にも自らを賭して接する。 また、生まれつき足が悪く、肺病とカリエスを患うふじ子を愛している自分を確認し、結婚を決意する。 しかし、結納を明日に控えた信夫が乗った列車が暴走する。 手動ブレーキに飛び乗った信夫が全力で列車を止めようとする。 スピードは落ちるが危険な塩狩峠にさしかかるまでに完全に止めなければならない。 信夫は躊躇なく身をもって列車を止める。
・・ 全編、その圧倒的な人間愛に押しまくられる。

明治42年、人命救助のために殉職した長野政雄という実在の人物がモデル。 鉄道職員であり、キリスト教の信者であったこの方の実話にもとずく話し。 テーマは「ひとに義人なし、一人だになし」という聖書の言葉。
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by Hhisamoto | 2008-04-07 19:25 | ■えせ文化人(本、映画・・)
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