カテゴリ:■B級グルメ( 86 )

インド式カレー「夢民」で見た夢

「夢民」というお店でポパイカレーを食べた。
このお店、住所は大久保だが、戸山公園わきにあるので高田馬場といった方がよいところにある。 店内は広く、テーブル席もあると思いきや、このお店はご夫婦らしきお二人が12名ほど座れるカウンターのお客のみに、その場でつくるカレーを食わせる店らしい。 

それに気づいたのは、昼飯時の直前にとまり木のようなカウンター席に座った私が、混み合ってきたので様子を見ようとふと後ろを振り返った時だ。 てっきりテーブル席でオーダーを待っていると思ったお客達は、一昔前の床屋の待合いのように壁際の長イスに背中をつけて、カウンターでカレーを食しているお客達の背中を見つめていた。 あの広いフロアスペースを客席に使っていないのは、一品ずつ丁寧にカウンター席のお客の顔を見ながらサーブしようとする店主の心意気なのか、あるいは居抜きで借りたこの店舗が広すぎるだけなのだろうか。 

おそらくこのお店の前身は、バドワイザーのネオンサインが小粋に光り、ナポリタンスパゲティーなどを食べさせ、カウンターでは若者相手にカクテルやビールを出していたお店だったのではないだろうかと想像をはたらかせてしまった。

私が注文したのは、ホウレンソウ、ホールトマト、タマゴを使ったポパイカレーだ。
カレーの辛さもオーダーできるので、中辛の域に属する番号を頼んだ。 辛いのは好きだが、あまり辛すぎると味に気がいかなくなるので、控えるようにしている。 広いオープンカウンターなので、客はカウンター内で調理しているオヤジさんのうしろ姿を足元まで見ながら出来上がりを待つことになる。 2種の小型フライパンを巧みに使い、しきりに調理スプーンをGABAN缶に運ぶ。 野菜もふんだんに使い、最後にソースポットに盛る姿は文字通りの手作りだ。 

味の調和もよく、バランスのとれたスパイスの組み合わせをもっていて、私にはとてもおいしく感じられた。 しかし、外看板に「インド式カレー」とあるのはビミョーなニュアンスだ。 インドカレー特有のクミンの強烈な香りはこないし、もちろんインド人スタッフもいない。 インド式とは何を指しているのだろうかと、余計なことを考えてしまった。

オヤジさんの手作りの姿と、カウンターの作りが気になった私は、カレーもカクテルのように、とまり木に座ったお客のリクエストに応じて作る姿をイメージしてしまった。
(たとえばこんなふうだ)
「いらっしゃいませ、何にしましょうか」
「そうね、今日はいい事なかったから、パァーと目の前が開けるようなパンチの効いたやつがいいな。 うん、色にたとえるなら、冴えたオレンジ色っていうところかな~」
「わかりました、おまかせ下さい」と言って、やおらナベを振るいはじめるのだ。

ウン、こんなカレー屋があってもいい! 絶対ありだ。
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by Hhisamoto | 2005-09-30 21:57 | ■B級グルメ

B級グルメの基本は、食いしん坊にあり

名古屋駅セントラルタワーズの12F・13Fには、KIHACHIなど、ちょっとしたレストランの並ぶタワーズプラザがある。 

その中の一軒「とり五鐵」という店で、軍鶏親子丼を食した。 
塗りのお椀の親子丼のまん中に、さらに黄卵が鎮座して、目にも鮮やかな一品だ。 私はミシュラン伯でも、堺正章でもないので、人が手間隙かけて作ってくれた食べ物に、星の数をつける趣味はないが、味醂のきいた味は、なかなかのものだった。 もっとも私には、軍鶏と普通の鶏の細かな違いは分からない。 しかし、カウンターの目の前にあった山椒をあえて試してみると、これがいける。 うな重に使われる山椒とは、あらかじめ異なるものが用意されているようで、親子丼に合う山椒があることをはじめて知った。

12Fの「マーノマッジョ」というイタリアンのお店では、携帯電話とノートパソコンのメールで、2時間ほど仕事をすることになってしまい、その間に、大盛りサラダと生ビールを2杯、2人前の大きなピザを一人でガバガバと平らげてしまった。 B級グルメの基本は、食いしん坊にありだ! 松坂屋のレストラン街では、「ひつまぶし」も食べたし、栄の街では、南側に位置する花街を横目に「チャオチャオ餃子」という店で、小振りの餃子も2人前食べた。

ある名古屋人が、名古屋の文化的な位置付けを評して、「名古屋は関西ではない。関東である」と、言い切っていたが、大阪のそれとは根本的に違う、と言いたいのだろう。 関東(特に東京人)は、大阪の元気に拍手を送るが、ライバル視するようなこだわりをもっていないので、名古屋の位置付けにしても、タモリがその昔「みゃーみゃー」いうとる、と面白おかしく取り上げたのが最後ではないだろうか。 確かに、食べものの味付けにしても、あの「甘み」は、独特の境地を切り開いたというより、東か西にあったものに、一ひねり加えただけのような気がしてしまう。 

今年の3月、オーストラリアのメルボルンに一週間滞在した時に感じたことは、オーストラリアの文化的な面を見ると、同じ英語圏であるイギリスとアメリカに窓が開かれていて、独自性の強い文化が不足しているように思ったことだ。 どちらからも益になる部分を、どこからともなく取り入れている、という様に感じた。 イギリス・大英帝国から一足先に一人暮らしを始めたお兄さん・アメリカは、すでに一人で独自の主張をするたくましさを身につけて、暮らしや音楽などにそれぞれの文化を築いてきた。 同じルーツ・大英帝国を親に持つが、弟分のオーストラリアは、まだその域には達していないように思えた。

名古屋の味の文化を語るのに、大げさなたとえを使ってしまった私には、まだ「名古屋らしさ」が分かっていないようだ。
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by Hhisamoto | 2005-08-14 02:07 | ■B級グルメ

素直においしい「ベジーヤ」のスープカレー

7月15日のむし暑い金曜日が、私の記念すべきスープカレー初体験の日となった。 場所は東西線「早稲田」を下車してすぐ。今は早稲田中学・高等学校となっているが、かっての王貞治の出身校・早稲田実業があった場所だ。 

スープカレーといえば「札幌」ということになっていて、札幌にて大ブレイクした後、東京に凱旋してきたイメージが強い。 サッポロスタイル・スープカレー「ベジーヤ」の説明によると、札幌のスープカレーには35年の歴史があり、ここ4~5年前からブレイクしているのだそうだ。 「北の大地からHOTな贈り物」という、たいそうなキャッチフレーズまでついているが、北海道産野菜をふんだんに使っているのは本当だ。 ポークカレースープ(¥980)を注文しても、その中には、じゃがいも、ニンジン、かぼちゃ、ブロッコリーなどが、丸のまま使われているのには目をうばわれる。 

スープカレーはあくまでスープ状のカレーが主役なので、皿に盛られたライスは、その箸休めのような存在らしい。 食べ方にもいろいろあるらしく、まずスープとして味わうことから始まり、次にライスをスプーンですくい、スープに浸して食べる。 さいごはライスをスープに入れて食べる、というように、名古屋の「ひつまぶし」を思わせるうんちくもある。 

6段階ある辛さからは、平均的な3を選んだが、それでも十分な辛さを味わうことができたし、豪快に使われている野菜が、とにかくいい味を出している。 丸ごとのニンジンなども、甘味をおびて実においしく、普段はニンジンを食べない人もいけるのではないかと思ってしまう。 「道産子」 おそるべし!
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by Hhisamoto | 2005-07-18 21:31 | ■B級グルメ

インドカレーラーメン (その2)

井上宏生著「日本人はカレーライスがなぜ好きなのか」を読んだ私は、前節にて「インド人シェフが作るインドカレーラーメン」に対して、皮肉な笑いを投げてしまったことを後悔した。 氏の本によると、インドで誕生したカレーがイギリスを経て、文明開化に沸く日本に渡来した後、日本においていかに独自の変化をとげたかが描かれている。 

例えば、とんかつをカレーとドッキングさせ、カツカレーを作り出したのは、浅草の洋食屋「河金」のお客に対するサービス精神であったこと。 また、今をときめくカレーパンをあみ出したのは、1927年(昭和2)、東京・深川の菓子店「名花堂」の二代目・中田豊治という方だそうだ。 のちに銀座の木村屋をつくる木村安兵衛は、パンにあんを入れて「あんパン」をつくり、現代に至る大評判となったが、この中田氏は、パンにカレーを入れてしまった。 しかも、アイデアを真似ただけでなく、彼はカレー入りのパンを油で揚げる工夫を加え、「洋食パン」という名で売りだし、下町の人気を集めたという。 さらに興味深いことは、中田氏はこのカレーパンを「発明」として、実用新案七八四号として登録していたという。 

カレーを愛してやまないこの本の著者・井上氏の話しは、「福神漬」を10年かけて誕生させた海産物問屋・江戸屋の十五代目・清左衛門の逸話にまで至るが、著書の中で、日本ではじめて「カレーうどん」を世に送り出した店、東京・早稲田の「三朝庵」についても触れている。

近代化日本の貪欲さに溢れる明治という時代は、新しいものを恐ろしい速度で吸収していったらしい。 そして人はカレーをはじめとする洋食に傾き、外食産業の雄として長い歴史を誇るそば屋(大阪では、うどん屋)は、窮地に立たされた。 その苦境の中で、そば屋はカレーを敵にまわしながらも、一方で手を結ぶ政策をとったというのだ。 「カレーうどん」を生み出したこの三朝庵は、明治維新後に大隈重信が早稲田大学を起こすと、腹をすかせた学生や新しモノ好きな教授たちをおおいに満足させることになり、現在も堂々と店を続けているという。

どの話しも「いにしえ」ながら、奇抜で絶妙な知恵の成せる技としか言いようがない。 だとすれば、現代において、インド人シェフが「インドカレーラーメン」を世に出すくらいは、当然の試みだったかもしれない。 しかも場所は「カレーうどん」発祥の地、早稲田である。 突飛な発想を大真面目に実現しようとする者を、前節の私は、心の奥底でせせら笑ってしまった! 反省を込めて言いたい 「インドカレーラーメン 万歳!」 

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2005 初夏
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by Hhisamoto | 2005-07-17 01:56 | ■B級グルメ

インド人シェフが作る「インドカレーラーメン」

早稲田大学理工学部で、教授の皆様に、私が扱っているデータベースについての説明をたっぷり半日行い、ヘトヘトになった帰り道、ここは食べもの屋がひしめく高田馬場の学生街であることにハタと気がつき、特に何も考えず、目についたカレー屋「ジョティー」に入った。

インド人の若夫婦が切り盛りしている小さな店内に入ってから気づいたことは、「インド人シェフが作る本格的インドカレー!」とある傍らに、カレーラーメン、ウドンのカレーツケメンというメニューが堂々とあったことだ。 いくら学生街だからといっても、そこまでやるかインド人シェフ!と言いたかったが、インドカレー味のカレーラーメンなるものを想像すると、もしかすると「似て非なるもの」かもしれない、などと興味をそそられ、もう少しでオーダーしてしまいそうだった。

インドの地ビール「MAHARAJA」を飲みながら、「インド各地の豪族や王様のことをマハラジャといい、絶大な権力を持っていたんだ」と20代後半を過ごしたアメリカで得たにわか知識を仲間に披露しながら、ふとビンのラベルを見ると、日本語で「マハラジャとは・・」と丁寧な説明書きがあった。

中央線の西国分寺駅を北側に下りてすぐのところに、カレーハウス「すぷーん」というカウンターのみの小さなお店がある。 私はその店でいつも「プレーンカレー」を食べる。 かけソバのようなもので、まさしく何の具にも邪魔されることなくカレーそのものを味わえる究極のメニューだと思っている。 また、カレーに自信がなければ置かないメニューだとも思う。 この「すぷーん」で出されるライスは、常にやわらか過ぎず固過ぎず、カレーには最適なご飯を炊いている。 盛られたそのライスに、濃い色をしたサラサラ系のカレーが薄く覆うようにして出されてくる。 カレーのスパイスの調合も見事なのだろうと思われるが、あの絶妙な味のバランスの整え方は、なにか「うまみ」「だし」といった日本人の口に合った、スパイス以外の味付けのなせる技が加わっているのではないかと思わせる。 ホテルニューオータニで30年間シェフを勤めたご主人が、大多数の日本人の好みに合う味付けを知り、適度に加え、確実に効いているような気がする。 事実、この店はよく大型連休をとるが、店を開ければ客足が絶えることがない。多くの人に受け入れられる味を目指してきた成果だろうと思う。

高田馬場「ジョティー」のインド人シェフも、日本人に受け入れられる味を追求するならば、インドカレーラーメン以外で勝負した方がよいと思う。
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by Hhisamoto | 2005-07-09 02:08 | ■B級グルメ

神田神保町のカレー

インド&パキスタンレストランチェーン「シディーク」なるカレーショップが神保町のアダルトショップ芳賀書店ならびにできた。 店の間口は小さいが、12~3席分はとれそうな長いカウンター席が薄明かりの店内奥まで並んでいる。 たっぷりと幅をとったカウンター席の前にはブラックミラーが張り詰められていて、落ち着きがある。店の外側から見た騒々しいデザインからは想像できない。 だが、店内のBGMもインド音楽だし、入り口の上部に据え付けられたTVモニターからしつこく流れている映像も、せわしいインド風MTVらしきシーンだ。 おまけに、せまいスペースにインド人スタッフばかり5~6人いる。採算は合うのだろうか。 4人は厨房にいるのだが、つねに大声でしゃべっていてやかましい。インド人とはおしゃべり好きな人種なのだろうか。 私にはインドの言葉はわからないが、きっと芸能ネタか、好みの女のタイプの話しで盛り上がっているのだろう。 そうに決まっている。

チキンカレー、ラムカレー、レンズ豆を使ったダルカレー、エビの入ったブローンカレーなどのメニューのほか、ビリヤニなる、いわゆるカレーピラフもあるし、ビールのつまみになりそうなタンドゥーリチキンもあった。 でもカレーにビールは基本的に合わない。 カレーに合うのはたっぷりの甘みと特有の渋みをもった本物のマンゴージュースだ。 できるだけオーソドックスに食したい私としては、ラムカレー・ライスをオーダーする。ライスはボリュームたっぷりのターメリックライス。くせがなく十分においしいが、ナンがもっとおいしいのに気づいたのは、2回目に訪れた時だ。

同じ神田神保町には、大正13年創業の老舗、スマトラカレーの「共栄堂」がある。 800円のポークカレーが看板メニューだが、ルーダクで食べるのが好きな私には、ご飯が2割程あまってしまうため、1000円でカレーだけ大盛り、というやつを頼まざるをえない。 つなぎに小麦粉を使っていないらしく、すっきりとしたカレー本来の味が楽しめるし、スマトラをイメージさせるココナッツの香りもいいが、プレーンなカレーそのものを味わいたい私には、あの肉の多さはありがた迷惑といったところ。 席につくと、カップに入ったポタージュスープと共にオーダーを聞かれ、ポークカレーなら秒殺で目の前に並ぶ。 ちなみにこのポタージュスープはかなりいける。 貫禄のあるご主人みずからが店に立ってらっしゃるが、あんなに大勢のインド人従業員を雇う「シディーク」を見たら、ご主人はどう思うだろうか。 きっと「おしゃべりしながら仕事ができます!」などの甘い広告で、おしゃべりインド人を国から呼び寄せ、驚くほど安い給料で働かせ、夜は部屋を与えずに、修行と称して仏陀のように廊下に座らせているに違いない、と思うだろう。 そうに決まっている。
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by Hhisamoto | 2005-06-25 01:38 | ■B級グルメ