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中村うさぎ 『さすらいの女王』

e0028123_21282152.jpg「中村うさぎ」という方をはじめて知ったのは昨年のNHKのトーク番組だった。

たしか、ゲストとして呼んだ夫婦に対して質問などをして、二人で乗り越えた苦労話しや面白エピソードを引き出していく番組の司会をやっていた。 司会でありながらも彼女が発する言葉の端々に、「この方はナニ者?」と一風変わった魅力を感じることがあり、記憶に残る。 そして、この中村うさぎ氏とは、港区役所から税金滞納で銀行口座まで差し押さえられながら、借金してでもブランド品を買いまくり、美容整形は顔の若返りから豊胸に至るまで施すツワモノであることを知る。

さらにゲイの男を夫に持つ結婚生活をしていて、よそ様の夫婦生活を云々するより数段面白い話しがドバドバと溢れ出てくる方であることを知り、近年のNHKのキャスティングもなかなかやるな、と感じさせてくれたことを覚えている。

そんな中村うさぎ女史の書きモノを初めて読んで、またまたビックリ!
この方の生きることへの探求心がしっかりと記されている。

子宮筋腫やガンの気配に脅かされながらも、人工的な若さと引き換えに、自らの欲望の重荷をこれからも背負っていく覚悟はできている、と明るく語るうさぎ女史に、ただならぬポジティブさと人生哲学を見出す読者は私だけではないはずだ。

さらに、氏自身のあとがきや、その氏を取り巻く方の解説に至るまで面白い。

かつてアントニオ猪木は、「ほんとうの借金とは五十億円以上しないとダメだ」
「それじゃ、絶対、返済できないじゃないですか」
「そうでもないよ。 借金が五十億を超えれば、『自己破産だけはしないでください』とカネの貸し主が頼んでくるようになる。 つなぎ融資もしてくる。 だから当座のカネには困らないもんだ。 その内、借金を肩代わりしてくれる人が出てくる。 カネに関しては、人生なんとかなるよ。 だから、ほんとうにやりたいことを、誰が何と言おうとやりぬくことだ」・・・

この解説を書いた佐藤優氏は、「外務省のラスプーチン」と異名をとったロシア情報分析のエキスパート。 その佐藤氏が参議院議員だった頃のアントニオ猪木から教わったという「ほんとうの借金」についての話しを持ち出して、うさぎ女史にエールを送っている。
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by Hhisamoto | 2008-03-30 21:27 | ■えせ文化人(本、映画・・)

フランツ・カフカ 『変身』

e0028123_11123055.jpg「ある朝、グレゴール・ザムザが不安な夢からふと覚めてみると、ベッドのなかで自分の姿が一匹の、とてつもなく大きな毒虫に変わってしまっているのに気がついた。・・・」で始まり、家族にさえ疎まれながら最後は自室の暗闇で衰弱して死んでいく。 読後感はと問われれば、どうにも重苦しい話し。

フランツ・カフカという人は、生涯を一役人として暮らしながら作品を残したというが、社会的な名声や表現する舞台を得なかったことから、粛々と平凡に市井として生きる民としての、心の内面を表したのかもしれない。

e0028123_11345644.jpg同じく比喩の利いた話しでは、ジョージ・オーウェルの『動物農場』がある。 豚が法律を制定し、農場を支配する様子を描いていたが、この話しからは社会を構成するヒエラルキーや支配の成り立ちを比喩していることがはっきりと読み取れる。 しかし、カフカの『変身』は、もっともっと心象的に人間の深い部分を表現しようとしているんだろなぁと思えた。

どうも最近、新刊本との出会いが少なく、この手の20世紀初頭モノに立ち戻っている。 
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by Hhisamoto | 2008-03-08 11:11 | ■えせ文化人(本、映画・・)