追悼 河合隼雄 『深層意識への道』

e0028123_151545.jpgものしりな仲間に教えられ図書館に行けば、すでに「追悼コーナー」まで設けられている河合隼雄さんの著書の数々。 ユング派心理分析家の第一人者としての功績と、日本語、英語、ドイツ語で百冊に至る著書を残して、この7月に亡くなった方だ。 無知な私はこの方の本を読んだことがなかった。

まず手にとった『深層意識への道 (グーテンベルクの森)』 という単行本を読んで驚いたのが、その人なつっこい平易な文章表現。 「難解な内容を、いかに容易で理解しやすく表現できるか」 これこそが高いインテリジェンスの発露だと感じる私には本当にウレシイ。 しかも、一貫してユーモアを忘れない表現に、この方の人間性のレベルの高さを感じる。 心理学者という人間の中枢を掘り下げる職業をしている方でも、必ずしもこのような表現力をたずさえている方ばかりとは限らないはずだ。 

たとえば、フロイトとユングと仏教思想との位置付けに至る話しまで、無理なく表現しようとするくだりがある。 「欧米の近代というのはがっちりした意識体系をつくって自我というものを確立し、自我の強化に努力しているなかでフロイトとかユングが、それだけでは駄目だ無意識ということを考えないと駄目だと言い出したのですが、仏教はそんな自我を固めないです。 固めずに意識もどんどん、どんどん深く降りていったら、ものすごく面白い意識があるというので、無意識などとはいわない。・・・(中略) だから仏教は、そんなことはもう知っていたで、と言いそうなところがある・・・」

評論家ならいろいろと言うだろうが、分析家自身でこんなことを大胆に語っている人を私は知らなかったので面白かった。 当分、この方の著書にはまりそうな気がする。
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# by Hhisamoto | 2007-08-15 21:05 | ■えせ文化人(本、映画・・)

『ポークカレー辛口』 by フクイのカレー

e0028123_1571299.jpg家族旅行といえば、飛行機にも乗れて遠くに来た気分も味わえるのが定番の北海道旅行。 しかも初夏は涼しく、おまけに旭山動物園がつけば定番が手をつないだような状態だ!

そんな北海道へ行ってきました。
この季節、小樽の優しい海風は私に地ビールを飲め飲めと誘っているようにしか思えず、ホテルでは家族が寝静まってからも、ひとりでグビグビとやっていた。 旭山動物園はうわさ通りの工夫された動物園。 今や日本一の来場者数が従業員のモチベーションをさらに揚げているように思えた。 立て看板など「手作りモノ」が目立つのもほほえましい。 

。。。。。。 。 。。。。。。

今日は、今夏最高の36℃に達した真夏日。 
迷わず冷凍庫から『フクイの辛口ポークカレー』を取り出して食べた。
この辛さ、最高!
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  「フクイのカレー」とは
  愛知県豊橋のカレーシェフ・福井英史氏が作る至極のカレー。 
  現在、電話(0532-61-4269)による通販でしか入手することができません。

  (紹介されているサイト

e0028123_11313429.jpg 野菜カレー  400g×2袋 (4人分) ¥1,365
 大辛カレー  400g×2袋 (4人分) ¥1,365
 ビーフカレー  400g×2袋 (4人分) ¥1,417

 ソースカレー  400g×2袋 (4人分) ¥1,155
 ハヤシソース 400g×2袋 (4人分) ¥1,155
 黒ゴマカレー 400g×2袋 (4人分) ¥1,155

 ポークカレー辛口 400g×2袋 (4人分) ¥1,155
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# by Hhisamoto | 2007-08-11 01:57 | ●『フクイのカレー』

『フレンチの達人たち』 宇田川悟 著

e0028123_23261428.jpgそれらしいフレンチレストランに行った記憶といえば、恵比寿ガーデンプレイスの「タイユバン・ロブション」くらいしか思い浮かばない私にとって、この本は新鮮だった。

石鍋裕、三國清三、村上信夫、根岸規雄、ジャック・ボリー、井上旭、ジョエル・ロブション、上柿元勝、斉須政雄、北島素幸、高橋徳男、鎌田昭男、熊谷喜八、勝又登、平松宏之 の16名の代表的シェフの料理と生き様について書かれたルポルタージュ。

登場する日本人のシェフたちは、まだ日本に手本となるフレンチレストランが存在しなかった時代に、当然のごとくフランスへ渡り、そして差別の中を手探りで模索する体験を同様に持つ。 そして帰国後に、街場のレストラン、一流ホテルのレストラン、オーベルジュ、レストランチェーンの経営など、それぞれの道に進む。 成功者たちであることには違いないが、自分の中に貯めこんだ貯金の使い道が少しずつ異なる点が興味深い。

また、フランスでの生活が長い著者は、ミシュラン・ガイドブックの厳格さと中立性について以下のように紹介している。  『フランスにある約5万軒のレストランの中から、ミシュランに掲載されるのは約1割、さらに星を与えられるのがその内の約1割だ。 頂点に君臨するエリートの3ツ星はたった二十数軒。 フランス社会と同様、食の世界にも厳然たる階層が築かれている。 かつてミシュランの星を奪われたために自殺したシェフがいたし、星を獲得するために政官財に四方八方手を尽くしたが、諦めざるを得なかったシェフもいたという。』  日本にも、今年の11月から日本版ミシュラン・ガイドブックが発刊されるというので楽しみだ。

さらに著者は、フランス料理が数ある世界の料理の中で王道とされるだけの奥の深さなどをもっている、と説明している。 このあたりの洞察の深さも面白い。 たしかに日本料理、イタリアンなど数種のレストランを抱える大手ホテルのレストランの総料理長といえばフレンチシェフがその座に居ることが通例だ。 しかし、私の弟が勤めていた赤坂全日空ホテル(今は外資が参入してANAインターコンチネンタルホテル東京となった)には唯一中華料理の総料理長が存在する。 この中国料理「花梨」の総料理長・麥 燦文(ばくさんぶん)氏が厨房にいる時の料理はずば抜けてうまい。 文句なくうまい! とてつもなくうまい!!

私は35歳の時、弟に勧められてはじめてこの「花梨」で、当時の彼女と食事をすることになったが、そのおいしさに驚いたことが忘れられない。 メニューが奇抜なのではなく、通常の中華料理のメニューがチャーハンに至るまでおいしいのだ。 これにはたまげた。

でも今は、その時の彼女がもっとおいしいチャーハンを家でちょくちょく作ってくれている。
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# by Hhisamoto | 2007-07-26 23:26 | ■えせ文化人(本、映画・・)

『裏から見た表』 森 泉人

e0028123_10135743.jpg敗戦国となった終戦直後の日本では、それまで虐待していた朝鮮系、中国系の人たちが反動的に暴れ回ったが、この暴動を当時の警察は治めることができなかった。 それを身体を張って収めたのは、やくざの親分衆の侠気だった。

その親分衆の中でも、器量の大きさと侠気で頂点を極めた稲川会総裁「稲川聖城」の生きザマが、側近・森泉人氏によって書かれた本。

なぜ、こんな本を薦められたのか分からなかったが、読み始めてみればイッキ読みしてしまうほど面白かった。

当時、竜虎と称された、西の「田岡一雄」山口組三代目組長、そして東の稲川会総裁「稲川聖城」。 ”両雄並び立たず”という言葉があるが、この両者はついに争うことなくお互いの立て引きによって”並び立つ”ことができた姿が描かれている。 日本のトップを極めた両雄のスケールの大きさと賢さは、社会の裏とか表などに関係なく、傑出した人物であったのだろうことが容易に想像できた。

この本の全編、「立て引き」という言葉が多く使われているのに気がつく。
耳慣れない「立て引き」という言葉の意味も、読んでいる最後には理解できてくるような気がした。 辞書には「義理を立てること」とあるが、私利私欲ではなく大局に立ち、相手の立場を考えて行動すれば、おのずから志が理解される。 レベルの高い理解があるから、義理を立てた方も立てられた方もお互いを理解しようとする心が生まれる。 そんな志のすり合わせのことであり、駆け引きでもなければ、貸し借りでもない。 そう理解をした。

また、森泉人という著者は知性派参謀だったらしく、永田町のことにも多く触れていることが興味深かった。 高く評価できる近代政治家に、後藤田正晴氏、土井たか子氏などをあげているが、私もまったく同感とするところだ。

児玉誉士夫とのやり取りなどもスケールの大きな話しで面白い。 本宮ひろしの漫画を連想させるような場面がたくさんあった。
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# by Hhisamoto | 2007-07-07 10:12 | ■えせ文化人(本、映画・・)

『きみは太陽のようにきれいだよ』 福原麻希 訳

e0028123_22535783.jpg送られてきた包みを開くと、AMAZONでもないのに本が出てきた!

広場で開かれるパーティーに、ホセは妻のアナを誘います。 しかし、自分はもうおばあちゃんだから、パーティーなんか似合わないから行きたくないと言うアナに、ホセは愛の言葉をささやき続けます・・。  瀬戸内寂聴さん推薦の素敵な老夫婦のお話し、と紹介されているほんわかとした絵本だ。

この「大人向け絵本」という面白いコンセプトの絵本を、スペイン語から日本語に翻訳したのが私の仲間の福原麻希さんだ。 この福原麻希は、以前 『国見発 サッカーで「人」を育てる』 小嶺 忠敏 (著) という新書の編集にたずさわるなど、執筆者としても実績を持っている女史。 小さな体でエネルギッシュに取材に走り回る姿を思い浮かべると、ほんわかとした気持ちになってきた。
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# by Hhisamoto | 2007-07-02 22:49 | ■えせ文化人(本、映画・・)

『野菜カレー』 by フクイのカレー

e0028123_2131526.jpgとなりの席で営業事務をしてくれていた女の子が、精神科の療法士になる勉強をするとかで退職することに。 いつも当たり前のようにいてくれた人がいなくなる。 明るく素直で、なんでもテキパキとこなしてくれていた人に、私は何をしてあげられたのだろうか、と疑問符ばかりが残る。 いい歳して、うしろを振り返っても、明日から彼女はいない・・。

         < < <  > > >

なんと大根まで入っている野菜カレー。
ライ麦入りのパンが手に入ったので、ゴハンではなくパンで食べたが、これが美味しかった。 日曜日は、これと若干冷やした赤ワインを昼からいただく。 これ目下の幸せの方程式!

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  注:「フクイのカレー」とは
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# by Hhisamoto | 2007-07-01 21:02 | ●『フクイのカレー』

『新幹線ガール』 徳渕真利子 著

e0028123_23474844.jpg新幹線パーサーという職に従事する300人の中でトップの売上成績を持つ徳渕真利子さんという方の話し。

しかし、パーサーの業績を売上高で計るシステムがあるわけではなく、むしろ「サービスのクオリティ」を重視するがゆえに、売上目標や売上成績を課していない。 そんな職場の中で、この人はダントツの一位であり、しかも他の人の平均の3倍を売り上げた。 その結果を見せつけられて、管理者層が逆にハッとした。 「やり方によってはまだまだ売上も伸びる余地があったんだ」、と気付かされたのではないだろうか。

そして、その秘訣が「目からうろこ」ではなく、仕事に対して至ってシンプルでまっすぐな姿勢から発せられていることが分かった時、上層部は内・外部への好影響を予想することができ、嬉々としてよころび、本を出版させるまでに動いたのだろう。

そんな本なので、ビジネス書やその手の啓蒙書と思って購入するのはちょっと間違い。
もちろん「徳渕メモ」の利用や、小銭の音が聞こえた方へお客を探しにさりげなく近寄ったり、といった「営業ノウハウ」についても書かれている。 しかし、この人の基本は「心の中で会釈」する気持ちが表情や態度に表れ、それが人の3倍お金を使わせることに結びついているのだと思う。 ノウハウ本と思って手にしたオヤジくさい輩に、か~るく肩すかしをくわせる本。
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# by Hhisamoto | 2007-06-27 23:46 | ■えせ文化人(本、映画・・)

『ビーフカレー』 by フクイのカレー

e0028123_2116584.jpgビーフかポークか? と好みを問われれば「ポーク」と答えてしまう方なので、私にはちょっと説明しづらい。 そして、かなりカラい。(フクイカレーの特徴かもしれない)

自分の中では、ちょうど今日見た映画 『007カジノ・ロワイヤル』のイメージと重なるような一途に突き進む辛さがあると思えた。
ぜひ、お試しあれ!



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  注:「フクイのカレー」とは
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# by Hhisamoto | 2007-06-23 21:01 | ●『フクイのカレー』

後楽園ホールにて

e0028123_23264741.jpg金子ボクシングジムの興業『GOLDEN CHILD BOXING Vol.83』 を観戦。

金子ジムの選手は4回戦ばかりだったが、どれも積極性のあるいい試合を見せてくれた。 帰りにリングサイドにいらした先代・金子繁治会長に挨拶。 元気なご様子でなにより。 
そのあとは、沖縄出身の宮城氏と水道橋の縄のれんをくぐって一杯。
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# by Hhisamoto | 2007-06-19 23:23 | ■おやじスポーツ

映画 『16 BLOCKS』 は、男の一分!

e0028123_2044247.jpg昔、『ガントレット』というクリント・イーストウッドが主演した映画があったのを思い出した。 ブルース・ウィリスが主演する『16 BLOCKS』は、バスにたてこもって闘うシーンに至るまで、まさに『ガントレット』のリメイクだ。

自分の中のほんの小さな正義感が、大きな不文律となり、世間を敵にまわしてでも闘うことを選択させる男の行動となりえる。 このテーマは時代を通して色あせない。 だからこそクリント・イーストウッドが演じ、今ブルース・ウィリスがこの原作を選んだのだろう。 

組織の中で、自分に折り合いを付けて生きることに疲れ、酒が手離せない男のやさぐれ感を演じる歳になったブルース・ウィリスの好演は、時のクリント・イーストウッドを彷彿させるものがある。 疲弊した人生の後半に至っても、魂のわずかな一点で譲れないものは眠っていて、それが臨界点を超えたある瞬間に目をさます心の叫びを表現しているのだと思う。

だれにでも社会で生きるために譲歩している範囲がある。 一方で、男としてどうしてもごまかしきれない自分の中の結界がある。 私はこんな古典的ハードボイルドが大好きだ!
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# by Hhisamoto | 2007-06-16 20:43 | ■えせ文化人(本、映画・・)

和食バイキング 『野の葡萄』

e0028123_2117332.jpg平日の休みにダイヤモンドシティー・ミュー(武蔵村山)のランチバイキング(¥1,600)を食べた。 自然食菜ビュッフェ「健康を食べにきてください」がサブタイトルになっている店。

どれを食べても美味しいく、既成のビュッフェの質の低いイメージはまったくない。 身土不二とか地産地消をテーマにしていて、体にやさしい旬の野菜を使った料理や飲物を約80種類用意しているという。 おそるべし!


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# by Hhisamoto | 2007-06-12 21:11 | ■B級グルメ

映画 『スーパーサイズ・ミー』

e0028123_2050398.jpg『スーパーサイズ・ミー』という(こんなもの誰が見るのかと思わせる)奇妙なアメリカ映画がある。

あらすじには、「一ヶ月間、すべての食事をマクドナルドのメニューで摂っていたら、体はどうなるのか? そんな疑問に、スパーロック監督が自らの肉体をもって体験し、答える超異色のドキュメンタリー」とあったが、すべてその通りのファーストフードに対する警鐘映画。

米国の食品業界では今、トランス脂肪酸(Trans Fatty Acids)を排除していこう! とブームになっているらしい。 トランス脂肪酸(TFA)と呼ばれるこの物質は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすため、心臓病のリスクを高めることが分かっている。 日本の死因のトップは癌だが、米国の場合はメタボリックな人間が多く、死因のトップは心臓病なので、文字通りの死活問題なのだろう。

トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングを製造する際、液状の脂肪酸を固形化するために水素を添加する過程で発生する物質。 天然に存在する脂肪酸は、ほぼ全部シス型という立体構造を形成しているが、この水素添加したものは、トランス型という天然にない構造になるという。

e0028123_2152240.jpg米国食品医薬品局(FDA)は2004年1月から食品中のトランス脂肪酸含有量の表示を義務化しているという。 マクドナルドも全米13,000店で使っている油をトランス脂肪酸の少ないパーム油に切り替えているという。 

EU圏の国のトランス脂肪酸への対応はもっと顕著らしい。 オランダはトランス脂肪酸を含む油脂製品を全面販売禁止。 デンマークは、ある限度以上のトランス脂肪酸を含むものは販売を禁止。 フィンランドでは、トランス脂肪酸ゼロのマーガリン「ベネコール」の販売が、同国マーガリンの売上げのトップを独走しているという。

自分の食生活も見直さないといかん! と思いつつも、ずいぶんと時間が経ち、私もすでにメタボリック気味。
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# by Hhisamoto | 2007-06-10 00:10 | ■えせ文化人(本、映画・・)

にっぽんの現場 『町工場 ドリルガールズ』

e0028123_21324288.jpg何げなくつけたテレビの、NHKのドキュメンタリーに目がくぎ付けになった。 題名は 『町工場 ドリルガールズ』。 世界のトップレベルといわれる金属加工部品を生産する東京・鎌田の町工場に働く女子社員の話しだ。 まさに職人芸というべき熟練の旋盤工の世界に入り込んだ若い女性たち。 生活感も含めたその真摯な生きザマは、アメリカのドラマ『ER』を思い起こさせる。

少し前までは、工業高校を卒業した男子が入社してくることが慣例だったそうだが、いまこの会社を支える若手といえば近隣の高校を卒業した体育会系女子だそうだ。 9年前に入社した女性を筆頭に、バレーボール部やバスケット部の後輩たちが毎年のように入社するようになっているそうだ。

鋼鉄の塊りにドリルで100分の1mmの精度で穴をあける。 オイルで摩擦と温度を制御しながら、耳を澄まして工作機械を操る。 情報処理と称して実体験のないデータを操る男が増えているように思える世の中で、この女性たちは、自らの指先の感覚や目・耳から入るわずかな違いを感じ分ける五感で勝負している。 技術を体全体で覚えこみ、自分が作った鋼鉄の製品を荷台の積み上げて心を躍らせている姿がある。 私はこういう(意思を持った)生きザマに敬意の目を向けてしまう。

価値は自分で見つけるもの。 どんなところにも花は咲く。
どんなところに咲いた花でも、美しい花は魅力的だ。

■ 本放送:6月 7日(木)午後11:00~ 
■ 再放送:6月13日(水)午前 1:50~  (火曜深夜)
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# by Hhisamoto | 2007-06-09 21:25 | ■えせ文化人(本、映画・・)

見城徹 『編集者という病い』

e0028123_22521713.jpgこの見城さんという方は、人の心を震わせるモノをもっている人たちのことを「表現者」と呼ぶ。

人の魂に接近し、しがみついて離れない。 どこまでもつき合う。 地獄の果てまででもつき合うぞ、と覚悟を決めてしまう。 「もうおまえしか目に入らない」とほれ込んで、寝食を共にするようなつき合い方をする。 やがてその表現者たちも、この人にすべてをまかせて、自分は創作活動に専念しよう、という気になる。

ただ、尾崎豊とだけは地獄が深かった。 炎の力もハンパではなく、いっしょに燃えて灰になりそうだったらしい。 七転八倒のもがきの中で光を放つ尾崎豊。 「自分も狂わない限り、尾崎とはつき合えない。」 ギリギリのつき合い方しかできない関係の中で、尾崎が死ぬ。 「悲しいけれど、ホッとした」という言葉も凄まじい。 

さらに苛烈なのは、ヘミングウェイを引合いに「結局、自分は自殺すると思う」と、この本の中で語っていることだ。 「人は死に向かって生きている。 人生で死を忘れさせてくれるのは、恋愛、仕事 ・・・」と、死を徹底して意識している。 死を恐れている。 そして、その反動をエネルギーに変えて、振れ幅の大きい生き方をしている。

編集者であることから、自らは出版意思のなかった見城徹の本。
刺激的以外のなにものでもない。 スゴイ生きざま!
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# by Hhisamoto | 2007-06-08 22:51 | ■えせ文化人(本、映画・・)

ホンモノの味 ドイツの『ラーデベルガー・スピルナー』

e0028123_18385761.jpgこのラーデベルガースピルナービールは、ドイツの最高級プレミアムビールとのこと。 歴史的にも王室から愛され支援を受けるほど珍重されてきたビールだという。 それでも日本において流通していなかったのは、大手企業がもくろむ利益計算が立たなかったという理由のみ。 その味と飲みごたえは一級品だと思う。

また、特徴は苦味だと思った。
前日に飲んだオーストリアのゲッサービールに軽量感を覚えるほど、この「ラーデベルガー」にはしっかりとした苦味がある。 それもギネスや黒ビールとは違って、ホップの苦味と認識できるような明瞭なうまさがある。

ドイツには古くから『ビール純正令』なる法律があり、大麦、ホップ、水、酵母だけがビールの原材料として認められ、今も純粋なビールのみが醸造されているという。 このようなビールを日本に居ながらにして味わい、楽しんでもらうために、輸入業者としてはそれ相応の苦心をしていると、イエナ社の友田氏は言う。

EU圏の国から日本にビールを運ぶためには、通常20日近くの航海をすることになる。 そのうち船がインド洋を通る7~8日間は赤道付近を通るルートとなるため、場合によっては船内の気温が60℃を超えることがあるそうだ。 その環境からビールのようなデリケートなモノを守りながら運ぶためには、リーファーといわれる定温コンテナによる輸送が不可欠となる。 この措置を施したものと、そうでないビールでは雲泥の差があるという。

知れば知るほど、ビールも美味しくて、おもしろい!
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# by Hhisamoto | 2007-06-02 18:38 | ■B級グルメ

ホンモノの味 オーストリアの『ゲッサービール』

e0028123_2112926.jpg日本は、世界中のたいていのモノが手に入り、口にすることができる幸せな国、と考えがちだが、経済が中心となって動いている国であるため、ある一定の市場性を持たないものは、日本では流通しない。 海外のビールがまさにそれで、サッポロ、アサヒ、サントリー、キリンといった大手飲料メーカーは、そのニッチな市場に参入する経済価値を見出していないそうだ。

私がアメリカで好きだったビール「クァーズ」は、日本で飲んでもあまり美味しく感じなかった。 その理由は、カリフォルニアの乾いた空気にぴったりと合うから美味しいと感じたのであって、日本には日本の気候・風土に適合した日本のビールの方が、より美味しく感じるのだろうと思っていた。 しかし、日本で売られているアメリカの「クァーズ」は、なんと中国で生産されているものだそうだ。 「クァーズ」は、コロラドのロッキー山脈の雪解け水を使って仕込んだビールじゃなかったのかョ~、と声を張り上げたい気持ちになった。 聞けば、薄利多売のビールという商品は、輸送も含めてコストをかけることに限界があるので、そのほかの海外ブランドビールもほぼ同じように力の入らない状況らしい。 

いま日本では、東京のイエナ社だけが輸入しているビールが4種類ある。
オーストリアのゲッサービール、エーデルワイスビール、ドイツのラーデベルガービール、シェッファーホッファービール。 イエナ社の友田社長からもらった中の1本『ゲッサービール』をさっそく飲んだ。 その圧倒的な麦芽とホップの香りがなんとも印象的。 日本のビールにはない種類のコクが伝わってくる。 詳しいビールの知識がない私にも、まぎれもない本物の味を感じさせてくれる。 こういうビールは冷やしすぎずに飲むとうまいはず、という私の感は当たった。 麦や酵母といった原料の豊潤さを味わえるような気さえする。 また、飲み終わったあとに、雑味が口に残らないのはなぜだろうか。 日本のビールとは根本的に違う何かがあるのだろうか?

ホンモノの味わいがウレシイ!
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# by Hhisamoto | 2007-06-01 21:05 | ■B級グルメ

いま欧米で流行の脱『トランス脂肪酸』とは

e0028123_217876.jpg米国の食品業界では今、トランス脂肪酸(Trans Fatty Acids)を排除していこう! と一大ブームとなっているらしい。 

トランス脂肪酸(TFA)と呼ばれるこの物質は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすため、心臓病のリスクを高めることが分かっている。
日本の死因のトップは癌だが、米国の場合はメタボリックな人間が多く、死因のトップは心臓病なので、文字通りの死活問題なのだろう。

トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングを製造する際、液状の不飽和脂肪酸を固形化するために水素を添加することによって飽和脂肪酸に変化させる過程で発生する物質。 天然に存在する脂肪酸は、ほぼ全部シス型という立体構造を形成しているが、この水素添加したものは、トランス型という天然にない構造になるという。

米国は2002年7月、食品医薬品局(FDA)などからの要請により、医学学会(Institute of Medicine)はトランス脂肪酸の摂取に関するレポートを発表した。 レポートは、トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増加させることから、心臓病のリスクが高まるとしている。 これを受けて、FDAは2004年1月から食品中のトランス脂肪酸含有量の表示を義務化しているという。

たとえば、米国のマクドナルドは2003年2月までに全米13,000店での使用の油脂をトランス脂肪酸の少ないものに代えると発表した。 パーム油に切り替えるのだそうだ。(ほんとかな?)

アメリカ以外のトランス脂肪酸に対する対応としては、オランダがトランス脂肪酸を含む油脂製品を販売禁止を予定。 デンマークは、ある限度以上のトランス脂肪酸を含むものは販売禁止。 フィンランドでは、トランス脂肪酸ゼロのマーガリン「ベネコール」(商品名)が、同国マーガリンの売上げのトップを独走している。、とのこと。
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# by Hhisamoto | 2007-05-29 20:52 | ■B級グルメ

新横綱 『白鵬』

e0028123_2383885.jpg平成19年五月場所、横綱・朝青龍は、12日目千代大海に押し出され、続いて魁皇、琴欧洲、白鵬にころころと投げられて10勝5敗。 信じられない光景。 一方の白鵬は全勝優勝。 今日の横綱審議委員会にて、満場一致で横綱に推薦と報じられた。
面白いことに、取組みの内容、品格、満場一致で文句なし、と言われながらも、今後の指導については、委員会から宮城野部屋に注文がついた。 北の湖理事長は、白鵬の指導を宮城野部屋付きの熊ケ谷親方(元前頭・竹葉山)に当たらせなさい、というのだ。

宮城野部屋には、親方が二人いる。
白鵬を見いだし、今も指導しているのは熊ケ谷親方という部屋付の親方らしい。 宮城野親方というのは、元十両・金親という人で、実はこの人が週刊誌で八百長報道されている張本人だという。

7年前、6人のモンゴル人と共に来日したが、身体が小さいため、白鵬だけがどこの部屋からもお呼びが掛からなかったところを、モンゴルの先輩旭鷲山が見かねて、宮城野部屋のこの熊ケ谷親方(当時の宮城野親方)に受け入れを申し込んでくれたという。

もし、白鵬の父親がモンゴル相撲の大横綱であることを告げられていても、各部屋の親方は見向きもしなかったのだろうか? ひとは化けるし、その化け方は見当もつかないから面白い。
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# by Hhisamoto | 2007-05-28 23:05 | ■おやじスポーツ

花村萬月 『たびを』

e0028123_2040051.jpg人気作家・花村萬月の小説をはじめて読んだ。 7cmくらいある分厚い本(ちょうど1000頁)だったので、ソファーで読みながら眠くなるとよく枕にして寝た。 持ち歩いたり、通勤電車では読めない本だった。

19歳の浪人生・虹児が、憧れの元同級生モモの死を契機に、オートバイを駆って日本一周の旅に出る。 そのひと夏の旅先で出会う人々との関係が虹児を大人にしていく話しだが、オートバイが「改造スーパーカブ」だったり、やたらと「イイおんな」と出会い関係していくところは、つい羨望をもって読んでしまう。 (おそらく主人公と同じ世代の読者はもっとはまるのではないかと思う)

京都、九州、北海道など、旅先の紀行として描かれていた部分は、作者自身の目線そのものであるはずなので、とても面白かった。 たとえば京都の街並の描写など、紀行文として興味深く読める話しが豊富にある。 河井寛次郎記念館の展示物 『楽在具中』 の意味について、花村萬月は、主人公・虹児を通じて言っている 「<楽在具中>の具は、道具の具ではないかと考えた。 そうであると判断すれば、楽は具の中に在るという意味がすんなりと理解できる。 単純だ。 楽しみは道具の中に在る。 芸術ですよとハッタリをかます特殊な代物の中にではなく、身のまわりに美がある。 そういうことだろう。 陶芸家・河井寛次郎は、美しいものとは見る人の主体性の問題なんだよって言ってるんだな」・・。

自身の考え方がなければ小説として書くことはできない。
女性に対する見方や考え方も花村萬月という人が出ていて面白かった。
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# by Hhisamoto | 2007-05-19 20:37 | ■えせ文化人(本、映画・・)

いまさら 『フラガール』

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このゴールデンウィークは風邪をひいてしまって、伯父の告別式のほかは外出もせずに家に居ることになった。 たまに発熱するのも意味があるはず、と開き直って引きこもっていた時に、唯一観たDVDが今さらの『フラガール』。

この映画の前半、常磐の炭鉱町で逼迫した生活をしながらも、若い女たちが夢を描いて未知の世界に足を踏み入れようと勇気をふりしぼってダンスを始める姿がある。

なぜかそれを見て思い浮かべたのは、自らの置かれている閉塞した境遇から這い上がるためにリングに上がった戦後のボクサーの話しだ。 おそらく、私の親の年代のボクサーたちは『フラガール』の女性たちと同じように、物質的にも精神的にもハングリーそのものだったにちがいない。 そして、何かで表現したくてうずうずした気分が幾重にも蓄積されていたと思う。 そんな彼ら彼女らがプロとして金になる場が与えられるなら、これ以上のものはないと思える部分があったのではないだろうか。 私にはフラガールと戦後のボクサーの姿が重なった。

若手の蒼井優、先生役の松雪保子はもちろんよかったが、豊川悦司の渋い存在感にも目がいった。
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# by Hhisamoto | 2007-05-06 20:07 | ■えせ文化人(本、映画・・)

『ドライカレー』 by フクイのカレー

e0028123_11224420.jpgひき肉を使わずに、とり手羽元を圧力鍋による独特な仕上げ方で調理し、さらにタマネギ、にんじん、セロリ、しいたけなどの数種の野菜と煮込んでアレンジされたドライカレー。

お鍋で温めたて戻したドライカレーの中に、ごはんを入れて混ぜるのが正しい食べ方とのこと。

私の場合はそれを大きな皿へ山盛りにしてガバガバと食う。 これだけ手の込んだドライカレーだが、せっかちな私が食べればほんの数分。 (申しわけない!)


e0028123_1123290.jpg特徴ある食感を味わえるのは、ドライカレーながらクミンシードが効いているためだろうか。 また豊富な野菜のためか、まろやかで角のない味なので、何かを添えてみたくなる。

福神漬けではあまりにも芸がないし、とりあえず冷蔵庫にあるもので彩りを添えて遊んでみた写真がこれ。 そのままで十分に美味しいので、必ずしもこんな食べ方をお勧めするわけではありません。 あしからず!




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  注:「フクイのカレー」とは
  愛知県豊橋のカレーシェフ・福井英史氏が作る至極のカレー。 
  現在、電話による通販でしか入手することができません。

  (紹介されているサイト

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 ソースカレー  400g×2袋 (4人分) ¥1,155
 ハヤシソース 400g×2袋 (4人分) ¥1,155
 黒ゴマカレー 400g×2袋 (4人分) ¥1,155
 ポークカレー辛口 400g×2袋 (4人分) ¥1,155

 【新作セット】 ¥1,575
   ドライカレー  400g×1袋
   ポークカレー  400g×1袋
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# by Hhisamoto | 2007-05-04 11:21 | ●『フクイのカレー』

銃について

e0028123_9373367.jpg32名が死亡するというバージニア工科大学で起きた銃撃事件。 その有り様は全米の危機感を煽るほどにショッキングで凄惨だった。 しかし、アメリカの銃に対する考え方は、日本の考え方とは大きく異なっていると私は思う。

私がアメリカに滞在した80年代後半にも、いくつかの事件が身近で起こり、「身を守るための銃」について考えさせられたことがあった。

自分の身を守るために銃を所持すべきか? という仮定の問いかけに対して、アメリカに長く滞在する友人が、「銃を持ったら、同時に人を撃つ覚悟を持ちなさい」と教えてくれた。 「銃を構えて撃たなければ、あなたが撃たれるのだから」とも。 つまり、銃を持っていれば脅かしになるだろう、などという考えは甘いのだ。 撃つ気がないのなら持つべきではない。 撃つ気がないのに銃を持つことほど、自分が危険にさらされることはない、と教えられた。 逆説を使って強く戒めてくださったこの言葉が今も私の記憶にある。

今回の大学乱射事件で、銃規制論議より「銃の所持が最大の防御策」とする主張が強い。 銃で防げたと残念がる。 これがアメリカだ。
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# by Hhisamoto | 2007-05-01 21:52 | My room

『ポークカレー2007』 by フクイのカレー

e0028123_13142949.jpg「春に新作を出すので、楽しみにしていてください」と言われてから、待つこと3ヶ月になろうとしていた。 ようやく届いた新作は『ポークカレー』と『ドライカレー』。 奇抜なメニューでもなんでもなかった。

フクイのカレーには、すでに『ポークカレー辛口』というメニューがある。 それにもかかわらず時間をかけて新たなポークカレーを考案し、新作としてリリースするあたりに、味を追求し、工夫を惜しまない「フクイのカレー」らしさが感じられる。 言ってみれば、『ポークカレー2007』といったところなのだろう。

食してみると「長時間煮込んでいます」との説明通り、ポークなどの具材はルーとしてかなりとけ込んでいる。 従来の『ポークカレー辛口』と異なるのは、(香ばしいスパイスが最後まで感じられる)スパイスの使い方のような気がした。 しかもスパイスに負けない、しっかりとした味付けがあり、「カレーライスとして美味しくゴハンをたべてもらいたい」という思いが伝わってくるカレーらしいカレーだと思った。


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  注:「フクイのカレー」とは
  愛知県豊橋のカレーシェフ・福井英史氏が作る至極のカレー。 
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# by Hhisamoto | 2007-04-30 13:09 | ●『フクイのカレー』

映画 『ギルバート・グレイプ』

e0028123_152296.jpg当時19歳のレオナルド・ディカプリオが知的障害をもつ弟役で出演していることや、ジョニー・デップが若き主人公を演じていることから、彼らが有名になった後、再び発掘されるように名前が世に出た作品らしい。 ところが皮肉なことに、彼らが有名になろうが無名のままでいようが関係なく、この平凡で心温まるヒューマンストーリーが大好きという人が多いと聞く。

私もそんな知合いから教えていただいて、この1993年製作の作品を観るに至った。
人口千人ほどの田舎町、アイオワ州エンドーラ。 24歳のギルバート・グレイプ(ジョニー・デップ)は、大型スーパーの進出ではやらなくなった食料品店に勤めている。 日々の生活は退屈なものだったが、彼には町を離れられない理由があった。 知的障害を持つ弟アーニー(レオナルド・ディカプリオ)は彼が身の回りの世話を焼き、常に監視していないとすぐに町の給水塔に登るなどの大騒ぎを起こすやんちゃ坊主。 母のボニー(ダーレーン・ケイツ)は夫が17年前に突然、首吊り自殺を遂げて以来、外出もせず一日中食べ続けたあげく、鯨のように太ってしまった。 ギルバートはそんな彼らの面倒を、姉のエイミー(ローラ・ハリントン)、妹のエレン(メリー・ケイト・シェルバート)とともに見なければなれなかった。(goo映画より)

こういった田舎町を舞台にしたアメリカ人の平凡な生活感は、東のニューヨーク、西のロサンゼルスにしか目が向いていなかった若い頃の私には理解がなかった。 

しかし、私が滞在時に見たアメリカの原風景には存在した。 なぜ、週に一度のポーカーゲームの集いがあるのか。 移動式のサーカスや遊園地、町の高校の体育館で行われるボクシングやプロレスの興業に、なぜ町の人々があつまるのか。 東西を除くアメリカ中央の広大な土地で、平凡に、潔く、保守的に生活する人々のいかに多いことかを知って愕然としたことがある。 こういった人たちの生活感は、人間の生き方そのものが写し出されるようで、奥深く、リアリティを持っていると感じた。

e0028123_18211054.jpgつきなみだが、映画としての話題点も多い。
当時19歳のディカプリオが演じる知的障害児役は圧巻。 並みの演技力でないことは誰の目にもわかる。 主人公ギルバート・グレイプの心に入り込むベッキー役のジュリエット・ルイスも不思議な魅力をふりまいている。 元カレだったブラッドピットもそのへんの魅力におちていたのかもしれない。 スウェーデン出身のラッセ・ハルストレム監督も 『ショコラ』、『サイダーハウス・ルール』など、ちょっと風変わりな映画を作る実力派だと思う。 

ちなみに、私が気に入ったシーンの一つは、ジョニー・デップ演じる主人公ギルバート・グレイプに、性の手ほどきをする保険代理店の社長婦人。 夫を突然の心臓麻痺で亡くし、未亡人として町を出ることになるが、その際にギルバートが働くストアに立ち寄る。 幼い二人の息子を持つ未亡人は、「息子たちも、あなたのような青年に育ってほしいと思っている」と告げるシーンだ。 人間の価値は、花のようにどんなところにも咲くということか。
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# by Hhisamoto | 2007-04-29 01:50 | ■えせ文化人(本、映画・・)

城山三郎訳 『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』

e0028123_23563354.jpg3月22日に亡くなられた城山三郎さんといえば、経済界を舞台にした小説。 特に実在の人物をモデルにした小説や歴史小説が有名だったが、城山さんが英語で書かれた本の翻訳をしているのに気づいた。 それがこの 『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』。 キングスレイ・ウォードというカナダ人実業家によって書かれたこの著名なこの本は知っていたが、城山さんが訳していることを私は知らなかったので、この機会に再読してみた。 

この本は、実業界で成功したビジネスマンの父が、後を継ぐことになる息子に向けてのアドバイスが、題名通りの30通の手紙形式で書かれている。 息子が大学に進学することに対することから始まり、息子を後任として自らは引退するまでの長い時間の中で綴られた30通の手紙文だ。

生真面目に読み進めていくと、カーネギーのような一昔前のビジネス啓蒙書のにおいがして、あまり面白いとは言い切れない部分もある。 しかし、最終章でもある30通目などは含蓄が深く興味深かった。 人は引き際の努め方がいかに大切であり、難しいものかが伺い知れる内容だ。 また、最後のページには、紀元50-120年頃の哲人エピクテートスの、次の言葉を引用して、人としての生き方を伝えている。

 「宴席で作法を守るように、人生の作法を守ることを忘れてはならない。 ご馳走がまわってきて、自分のまえに来たら、手を伸ばして、礼儀正しく一人分を取る。 次にまわっていくのをとどこおらせることのないように。 まだまわってこないうちから欲しそうにしないで、自分のまえに来るまで待つように。 子供についても、妻についても、地位についても、富についても同じことである。」

実際には、身近にいる息子を前にして手紙を渡していたとは思えないので、倉本聡が、『前略、おふくろ様』、『拝啓、父上様』としたように、日記や回想録をまとめたものかもしれない。
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# by Hhisamoto | 2007-04-28 23:56 | ■えせ文化人(本、映画・・)

神楽坂 『宮した』

e0028123_203540100.jpgTVドラマ「前略、父上様!」で話題になったせいか、金曜夜の神楽坂は人でいっぱいだった。 アメリカ駐在時からの知合いの金子夫妻、私の自宅の設計をしてもらった中田氏と共に神楽坂『宮した』で和食会席としゃれこむ。

飯田橋駅から、毘沙門天を横目に神楽坂通りを少し上がったところにある『宮した』は、客が14・5名も入れば席が埋ろうかという広さしかないお店だが、料理はすべておいしく、行き届いているといった感じ。 例えば、あの刺身のうまさなどは、新鮮なネタを厳選していることを容易に想像させる。 お吸い物に桜の花びらが溶け込むようにあしらわれているところなどには、和食の繊細さを十分に感じさせてくれる。

小さくても(失礼)このようにしっかりした店が数多くあるのかなぁと思うと、いまさらながら東京というところは密度が濃い都市であることを感じてしまう。

この歳になると、学生時代からの友人でなくても10年以上の付き合いという関係がある。 この日のメンバーはまさにそんな貴重な仲間。 お互いの独身時代も知っていて、所帯を持ったり、仕事場を変えたりとそれなりの変遷を経験してきた時間も同じように過ごしてきた。 アメリカのころの話しになれば、お互いの失敗談も今は楽しい。
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# by Hhisamoto | 2007-04-22 21:09 | ■B級グルメ

まぼろしの松下奈緒ちゃん

e0028123_2126676.jpg携帯が鳴り、「母が自転車でころんで顔面に傷を負い入院した」との知らせを聞いたのは、日本フィルハーモニー交響楽団によるサンデーコンサートの演奏が始まる直前の池袋芸術劇場だった。 しかもこの日は、松下奈緒のピアノ共演があるというおまけ付き。(私は奈緒ちゃんが目当てだった) なんとも残念な思いを胸に収めて、私が病院へ向かうことになった。

救急車で母が運ばれたのは、世田谷の三宿病院。 すでにレントゲンからMRI、脳のCTまで手が施され、数日の入院と、明日以降に耳鼻科の診療を受ける手はずまで話しができていた。 また、日曜にもかかわらず、ちょくちょく顔を見せる看護婦の応対にも優しさを感じた。 弟といっしょに医師の説明を受けることを希望すると、担当医は懇切丁寧にという言葉がぴったりくるような説明をしてくださった。 

病院の良し悪しを言うつもりはないが、このように安心できる病院にめぐり合えばありがたい。 というのは、身近に聞く話しは必ずしもそうではないからだ。 知合いには、入院先で虐待に近い扱いをうける年老いた母の身を案じている方がいる。 若干の痴呆もあるため、明確に伝えることもできず、病院側には真剣にとり合ってもらえないという。

結局、私の母はこの三宿病院が気に入って、通いなれた大学病院への転院の薦めをあっさりと断り、手術も受け、元気に退院した。 あとに残ったのは私の松下奈緒ちゃんへの残念な想いだけ。 彼女のブログを開くと、「4月1日芸術劇場でのコンサートへお越しいただいた方、ありがとうございましたm(__)m。 無事に終えることができてホッとしています。・・・」とあった。
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# by Hhisamoto | 2007-04-21 21:08 | ■えせ文化人(本、映画・・)

『マイ・ストーリー』 山本容子

e0028123_1128184.jpg刺激に満ちた彼女の生きザマが豊潤な大人のユーモアをたずさえて描かれている。

常に自分をみがく前傾姿勢。 あくなき探究心は動物的だ。 情熱的に生きたメキシコの女流画家フリーダ・カーロとディエゴ・リベラを引き合いに、私の要求を満たすためにはたくさんのボーイフレンドが必要だったと語る。

高いセンスを感じるユーモアはそこかしこ表現されている。
「長い長いあとがき」と称して今の自分を書き、たどり着いたかに思えた伴侶との離別をも告白している。 このあたり、読む者に対しても最後まで刺激を与えてくれる。 

子どもが読んでいた「赤毛のアン」全10巻に、すばらしい銅版画の挿絵がほどこされているのは私も見たことがあった。 こういったポピュラリティな活動については、芸術家の世界では反感の声も多かったそうだ。 カバーをかざる表情豊かな写真から分かるように、この人はただの美人ではなく、人を引きつけてやまない魅惑と感性をたたえた美女だ。 こういう人は歳がいっても品性と魅力は衰えないと思う。 また、男はこういう女性にまちがいなく弱い。

死して名を残した芸術家ではなく、現代に生きる芸術家とはこういうものかと考えてもおもしろい。 例えば、現代の美術家に対する言及が興味深い。 ミケランジェロ、ラファエロ、ピカソなどのように、政治的な戦略、プロデューサー的なセンスも必要で、美術家で生き残っているのは、いわいるやり手がほとんどだという。

前向きに生きる情熱とラジカルが混在する山本容子の半生。 私は、自分の娘がいくつになったらこの本を読むべきかと考えこんでしまう。
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# by Hhisamoto | 2007-04-07 11:24 | ■えせ文化人(本、映画・・)

後楽園ホールにて

e0028123_044216.jpg第64回東日本新人王予選が後楽園ホールであった。 たまに私が汗を流しに行くオザキジムの佐々木秀和選手も5試合目に試合があるので、仕事を早々に切り上げて見に行く。 

ドリームジムの新井という選手との対戦だったが、佐々木は身体が前のめりになって前進してくる新井の癖をついて、アッパーカットをびしびしと打ち込み、大差の判定勝ち。 (よかった、よかった!)

4回戦の新人王戦というのが、新人ボクサーにとってはひとつの登竜門となっていて、東日本・西日本の新人王がさらに全日本新人王の座を競う。 全日本新人王になれば日本ランキング入りが見えてくる。 だからこの新人王戦のトーナメントにはみんな力が入るが、選手たちは生き残りをかけて、テクニックよりもどつきあいに耐えていくといった感じだ。 こまかいテクニックが勝敗を左右するのは6回戦以降といってもいい。 そんな4回戦ばかりが13試合も行われた今日の新人王予選だったが、素朴なこの雰囲気はボクシング本来のにおいがして好きだ。 
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# by Hhisamoto | 2007-04-02 22:03 | ■おやじスポーツ

ノンフィクション映画とドキュメンタリー映画

実話に根ざした小説や映画が必ずしも輝いているわけではないが、私はノンフィクションものが大好きだ。

小説において、ノンフィクションとドキュメンタリーの「境目」については、トゥルーマン・カポーティに代表されるような試行錯誤が長く繰り返されてきた。 しかし映画は真実以前に書籍を超えられない表現も多く、書籍(原作)を読んでから期待して映画を観ると、がっくりと肩が落ちてしまうことがある。 もちろん必ずしもそうではない。 映画でなければ伝わらなかったであろうと思われるような迫力や表現力を感じることもあるし、映画での結末が原作にアレンジを加えてあり、どちらも興味深かったりすることもある。

e0028123_2211237.jpg少し以前の映画だが、ジュリアロバーツの『エリン・ブロコビッチ』という事実に基づいた話しがあった。 この作品は、映画表現の質の高さと実話だけが持つリアリティが相乗した好例ではないかと思う。 私はこの映画が大好きだ。 企業が排出する6価クロムにより汚染された地域の住民を喚起させ、原告団を組織する実在の女性エリン・ブロコビッチの話しだ。

自身の生活にも窮するエリン・ブロコビッチが、あるきっかけから弁護士事務所で働くことになる。 離婚暦2回、学歴も法律知識もない3児のシングルマザー。 ハッタリと外見にはこだわりをもっていて、きれるとみさかいなく汚い言葉で当たり散らす典型的なヤンキー系。 しかし、そんな彼女が目覚めるできごとに遭遇する。 米大手企業PG&E社が6価クロムによりもたらした水質汚染疑惑だ。 そこから彼女の人間としての戦いが始まる。 そして、エリート弁護士たちも舌を巻く634人から信頼と署名を集め、最終的に和解に持ち込み、米国史上最高額の「3億3300万ドル」(約350億円)を勝ち取るに至る。 (これは1993年に実際に起った訴訟事件だそうだ)

この話しは、ある種のアメリカンドリームの体現だと思う。 人間の可能性の多様さを言い表していて、勇気をもらえる話しだと思う。 (アメリカンドリームは、なにもスポーツや事業成功者だけの話しではないはず)

映画としての表現力のすごさは、監督とジュリアロバーツのキャラクターが作り上げたものかもしれない。 例えばエリン・ブロコビッチに扮するジュリアロバーツはこの映画の中で一切涙はみせない(それが逆に泣かせる)。 「社会的な目上」に対する悪態の数々にも心をゆさぶられるものがあるし、自分自身の体調を崩しても身を粉にする姿もさりげない・・ これがもし男が主人公の話しだったら、おとこの侠気いっぱいの話しだったのかもしれない。

また、いまのDVDには未公開映像の他に、エリン・ブロコビッチ本人や最良の理解者となる弁護士本人などが当時を語る映像が収録されていて、観る者のリアリティをかきたてる。

e0028123_22234840.jpgさらに、実際のエリンブロコビッチ氏もサイトを公開されているのが面白い。http://www.brockovich.com/index.htm

これを読むと、彼女に学歴がないわけでもないことが分かるが、ストーリーに脚色がほとんどないことも分かる。 (グラマーで美人だったことも)
また、このサイトの「フィロソフィー」という項目では、環境保護に対する真摯な意見も述べられている。 連絡をとるためのコンタクト欄もある。 こんな現実との境目もおもしろい。

そのほか、いま私が観てみたいと思っているこの手の映画は、『ダーウィンの悪夢』、アルゴアの『不都合な真実』などだ。
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# by Hhisamoto | 2007-03-27 21:19 | ■えせ文化人(本、映画・・)